【コロナ禍で検討中の企業増加】越境EC事業とは?メリット・デメリットを解説

2019年後半、COVID-19(コロナウイルス感染症)は、中国の武漢市で最初に発見され、その後世界中に広がりました。世界保健機関(WHO)は2020年3月11日にCOVID-19をパンデミック(世界的大流行)と宣言しました。ワクチンが開発され、世の中は段階的に規制を緩めてはいましたが、公的には2023年5月に緊急事態宣言がようやく解除されました。多くの社員の方を抱える経営者の皆様にとっては、一生に一度の大変な状況だっただろうと推測します。

そのような大変な状況の中でも、数々のイノベーションが起こり、いくつかのビジネスが注目を集めました。

  • オンライン配信プラットフォーム: ビデオ会議プラットフォーム(ZoomやMicrosoft Teamsなど)、オンライン学習プラットフォーム(ZoomやGoogle Classroomなど)
  • 配達サービス: フードデリバリーサービス(Uber EatsやDoorDashなど)、オンラインスーパーマーケット(Instacartなど)、フードキットデリバリー(Blue ApronやHelloFreshなど)
  • リモートワークツール: リモートコラボレーションツール(SlackやFigmaなど)、プロジェクト管理ツール(TrelloやAsanaなど)、クラウドストレージ、クラウドコンピューティングなど
  • オンラインエンターテイメント: オンラインストリーミングプラットフォーム(Netflix、Amazon Prime Videoなど)、ゲーム配信プラットフォーム(Twitchなど)
  • 健康関連サービス: フィットネスアプリ(Peloton)やテレヘルス(オンライン医療相談)、ホームフィットネス機器、在宅用医療機器など
  • オンライン小売業: オンラインマーケットプレイス(AmazonやEtsyなど)、オンラインファッションリテーラー(ASOSなど)
  • テレワーク関連サービス: リモートアクセスソフトウェアやバーチャルプライベートネットワーク(VPN)サービス、セキュリティソフトウェアなど

コロナが与えたビジネスの在り方や消費者行動の変化は、コロナ後の経済や社会に長期的な影響を及ぼしています。

参考:Shopify: Commerce Trends 2023

コロナ中は外出や人が密接する状況を控えるようアナウンスがあったり、ビジネスによっては営業規制もあったので最もなのですが、オンラインショッピングを含むEコマースが劇的に成長しました。コロナ前から消費者はオンラインショッピングに慣れ親しんでいたものの、オフライン(店頭)中心のビジネスも多かったように思います。例えば、電気自動車のパイオニア、Teslaはオンラインで予約・購入が可能でしたが、至って稀な存在だったと記憶しています。コロナを機にB2Cだけでなく、B2Bでもオンライン決済が見られるようになりました。

中国でもっとも有名な起業家の一人、Jack Ma氏のアリババドットコムは、コロナ前からB2B(Business-to-Business)マーケットプレイスのビジネスモデルとして有名でした。アリババドットコムでは、主に中国のサプライヤーが商品をリストアップし、世界中の企業・バイヤーが取引することができます。アリババは取引の仲介役として機能し、取引の安全性や信頼性を確保しているのですが、初期の頃は送金したものの商品が届かないという被害も多かったようです。インドには、インディア・マートと呼ばれる同じビジネスが存在します。

上記と重なる部分がありますが、コロナを機会に越境EC(Cross-border E-commerce)という言葉が登場しました。オンライン取引ということで、国境の壁が一層低くなったのです。越境ECが登場した背景には、いくつかの要素が関与しています。

  • インターネットの普及: インターネットの普及により、情報や商品が国境を越えて瞬時に共有されるようになりました。インターネットの普及は、グローバルなコミュニケーションとビジネスの促進を可能にしました。
  • グローバルな物流ネットワークの発展: 物流業界の進歩により、商品を効率的かつ迅速に世界中に輸送することが可能になりました。国際輸送の改善や物流インフラの発展により、越境ECの実現性が向上しました。
  • 需要の拡大と多様化: 消費者はより広範な商品やサービスにアクセスしたいという要求が高まっています。また、一部の商品やブランドは海外での需要が高まっており、これらに対応するために越境ECが活発化しました。
  • グローバルな競争の増加: 企業は成熟した市場での競争が激化したため、新たな市場への進出を模索しました。越境ECは企業にとって新たな成長機会を提供し、グローバルな競争において優位性を確立する手段となりました。
  • 支払いとセキュリティの改善: オンライン決済システムの発展とセキュリティの向上により、消費者はより安全かつ便利に商品を購入することができるようになりました。これにより、越境ECの信頼性と利便性が向上しました。

以上の要素が相まって、越境ECは成長してきました。グローバルな市場へのアクセスや新たなビジネスチャンスがある一方で、異なる国や地域の規制や文化に対応するための課題も存在します。しかし、技術の進歩とグローバルな経済の発展により、越境ECはますます重要な役割を果たしていくことが予想されます。

そこで今回のブログでは、越境ECのメリット・デメリットをご紹介します。これから海外進出される経営者様の参考となれば幸いです。

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

アメリカのEコマースの現状

越境ECのメリット・デメリットについて触れる前に、アメリカのEコマースの現状についてお伝えします。アメリカのEコマース市場は非常に大きく、成熟しています。オンライン小売業者やマーケットプレイスが多数存在し、消費者は幅広い商品やサービスをインターネット上で購入することができます。アメリカのEコマース市場は、高いインターネット普及率とモバイルテクノロジーの普及に支えられており、消費者の利便性と選択肢が大幅に拡大しています。また、アメリカのEコマース市場では、アマゾンをはじめとする大手小売業者が市場シェアを独占しており、物流ネットワークの強化や顧客への迅速な配送を重視しています。さらに、ソーシャルメディアやインフルエンサーマーケティングの影響も高まっており、消費者の購買行動に大きな影響を与えています。持続可能性とエシカルコマースの重要性も増しており、企業は環境への配慮や社会的責任を果たす取り組みを強化しています。

eMarketer by Insider Intelligence: US Ecommerce by Category 2022
Oberlo: US ECOMMERCE SALES (2012–2022)

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

@Oberlo

市場規模:

アメリカのEコマース市場は非常に巨大であり、2022年の売上高は推定で約1.04 trillionドル(1 兆ドル=100兆円 *計算の簡略化のため、$1=100円で換算)とされています(eMarketerのデータに基づく推計)。この数字は、オンラインストア、マーケットプレイス、オンライン食品配達やサブスクリプションなど、さまざまなカテゴリーが含まれています。

Emarketer: Trends & Statistics
Oberlo: TOP ECOMMERCE CATEGORIES IN THE US

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

@eMarketer by Insider Intelligence

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

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マーケットシェア:

アマゾン(Amazon)は、アメリカのEコマース市場で最も大きなシェアを持ち、その売上高は$220 billion(オンラインストアのみ)に達します。他にも、ウォルマート(Walmart)、eBay、アップル(Apple)、ターゲット(Target)など、大手小売業者やマーケットプレイスが存在しています。

Statista: Market share of leading retail e-commerce companies in the United States as of June 2022

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@Statista

カテゴリー別マーケットシェア:

アメリカのEコマース市場におけるカテゴリー別のマーケットシェアは、定確な数値が頻繁に変動するため、正確な情報を提供することが難しいですが、一般的な傾向や主要なプレーヤーについて以下に説明します。

オートパーツは昨今成長著しいカテゴリーです。個人の車好きの方はオートショップに行ったりオンラインショッピングしていましたが、B2BのEコマースが遅れていました。アドバンスオートパーツ(Advance Auto Parts)やオライリーオートパーツ(O’Reilly Auto Parts)に加わえ、Amazonも販売に力を入れており、成長が予想されているカテゴリーです。

食品については歴史的に低水準だったものの、コロナを機にオンライン食品配達サービスが使われるようになり、消費者行動を変えました。InstacartやFreshDirect、Amazon Freshなどのサービスが人気です。ローカルのスーパーもデリバリーサービスを提供するようになり、高齢者向けだったサービスが世代に関わらず利用されるようになってきています。

ファッション・アパレルでは、ブランド独自のオンラインショップの他、オンラインファッションリテーラーのZappos、ASOS、Nordstrom、Revolve、Farfetch、最近では中国のSheinなどが人気です。

汎用品や家電製品のカテゴリーでは、アマゾンが大きなシェアを持っています。アマゾンは幅広い商品カテゴリーを提供し、顧客への迅速な配送やプライム会員特典などのサービスを提供しているので、WalmartやBestBuyで価格を比較し、アマゾンで購入している消費者も多いようです。

eMarketer by Insider Intelligence: US Ecommerce by Category 2022

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

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市場規模(国別):

オンラインマーケットの市場規模は、国ごとに異なる特徴と成長率を示しています。先進国や人口の多い国では一般的に大きな市場が形成されています。中国は世界最大のオンラインマーケットであり、膨大な人口と高いデジタル化率が市場の拡大を支えています。アメリカもオンラインマーケットにおいて重要な地位を占めており、巨大な消費市場と高度なインフラストラクチャーが成長を牽引しています。日本はUKと拮抗して4位となっています。人口がEコマース市場に大きな影響を与えていることはもちろんのことですが、3位にUK(67.33 million)がランクインしているので、必ずしも人口だけが要因ではないようです。

一方、新興国や発展途上国でもオンラインマーケットが急速に拡大しています。インターネットの普及率の向上やモバイルテクノロジーの進歩により、消費者はより簡単にオンラインで商品やサービスにアクセスできるようになりました。インドやブラジルなどの新興国では、急速なデジタル化の進展に伴い、オンラインマーケットの市場規模が急増しています。

オンラインマーケットの市場規模はさまざまな要素に影響を受けます。消費者のインターネット接続の利便性、デジタル決済の普及度、物流インフラストラクチャーの発展などが重要な要素です。また、地域の文化や消費者の購買行動も市場の特徴に影響を与えます。これらの要素を考慮しながら、オンラインマーケットの市場規模は国ごとに異なる動向を示しています。

Oberlo: ECOMMERCE SALES BY COUNTRY IN 2023

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ データ

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越境ECのメリット

グローバル市場への進出:

越境ECの最も重要なメリットの一つは、グローバル市場への進出が可能となることです。越境ECを活用することで、国境を越えて商品やサービスを提供することができます。これにより、新たな市場や消費者層にアクセスし、事業の成長と収益の拡大を実現することができます。

グローバル市場への進出は、大きな機会を提供します。世界中には多様な消費者が存在し、異なる地域や国々で独自のニーズや嗜好があります。越境ECを通じてこれらの市場に参入することで、商品やサービスを需要のある地域に提供することができます。また、新たな市場において競合他社が少ない場合もあり、競争力を持ったビジネスを展開する機会が生まれます。

さらに、グローバル市場への進出は企業にとってのリスク分散も意味します。国内市場に依存するリスクを軽減し、異なる国や地域でビジネスを展開することで、経済の変動や地域の問題に対するリスクを分散させることができます。これにより、企業はより持続可能な成長を実現することができるでしょう。

グローバル市場への進出は、企業にとっての成長と競争力の向上につながる重要なメリットをもたらします。

顧客層の多様化:

越境ECを活用することで、国境を越えた販売が可能となり、異なる国や地域の消費者に対して商品やサービスを提供することができます。これにより、顧客層の多様化を実現し、ビジネスの成長と競争力の向上につながります。

異なる国や地域には、独自の文化、生活様式、および消費行動が存在します。越境ECを通じて、これらの異なる顧客層に対して適切な商品やサービスを提供することができます。例えば、地域の嗜好やニーズに合わせた製品バリエーションを提供したり、言語や通貨に対応したウェブサイトを提供したりすることができます。

顧客層の多様化は、新たな成長機会を生み出すだけでなく、競争力を向上させることもあります。異なる地域の消費者の嗜好やニーズに合わせて製品やサービスを提供することで、競合他社よりも優れたカスタマーエクスペリエンスを提供することができます。これにより、顧客の獲得やロイヤルティの向上が期待できます。

さらに、顧客層の多様化はリスクの分散にもつながります。国内市場にのみ依存している場合、地域の経済変動や市場の衰退によってビジネスが大きく影響を受ける可能性があります。しかし、異なる国や地域で顧客を持つことで、リスクを分散させることができます。

越境ECを活用することで、企業は顧客層の多様化を実現し、成長と競争力の向上を図ることができます。

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出

売上の増加と収益の向上:

越境ECを活用することで、企業は新たな市場や消費者層にアクセスすることができます。これにより、需要の拡大と売上の増加が期待できます。

異なる国や地域に商品やサービスを提供することで、企業はより多くの顧客にリーチすることができます。国内市場に比べて人口が多い国や成長著しい新興市場への進出が可能です。これにより、売上を拡大するだけでなく、新たな収益源を開拓することができます。

また、越境ECを通じて国外での販売を行う場合、価格設定や付加価値の提供が可能です。異なる国や地域の市場の特性に合わせて価格を調整したり、地域のニーズに合わせた特別なサービスや製品を提供することができます。これにより、顧客からの支出を最大化し、収益を向上させることができます。

さらに、越境ECによって事業のスケールメリットも享受することができます。国境を越えた販売を行うことで、生産量や仕入れ量の拡大が可能になります。これにより、原材料の調達コストや製造コストを削減し、効率的な運営を実現することができます。その結果、収益率の向上や競合他社との価格競争力の確保につながるでしょう。

競争力の強化:

国境を越えた販売により、企業は新たな市場や競合他社との競争環境に直面します。これにより、競争力の向上と市場での地位の確立が期待できます。

異なる国や地域の市場に参入することで、企業は新たな機会を探求し、成長の可能性を広げることができます。また、競合他社が少ない場合や競争状況が異なる場合もあります。これにより、企業は独自の価値提供や差別化戦略を展開することができ、競争力を高めることができます。

さらに、異なる国や地域での販売は、企業にとっての学習と成長の機会でもあります。異文化環境や市場の特性に対応するために、企業は柔軟性と適応力を養う必要があります。市場のトレンドや消費者のニーズを把握し、素早く対応することができる企業は、競争力を強化し、市場での優位性を獲得することができます。

また、競争力の強化は企業の持続可能な成長にもつながります。競争力の高い企業は、市場でのシェアを拡大し、顧客の獲得やロイヤルティの向上を実現することができます。また、競争力の高い企業は、新たな市場参入や業界の変革にも積極的に対応し、ビジネスの成長を促進することができます。

リスクの分散:

国境を越えた販売を行うことで、企業は単一の市場や地域に依存するリスクを軽減することができます。これにより、ビジネスの安定性と持続可能性が向上します。

地域や国内市場にのみ依存している場合、その地域の経済変動や市場の衰退によってビジネスが大きく影響を受ける可能性があります。しかし、異なる国や地域に顧客を持つことで、リスクを分散させることができます。もし一つの市場が不振に陥った場合でも、他の市場の売上が補填することができるため、ビジネスの安定性が高まります。

さらに、越境ECを通じて地理的なリスクや自然災害に対する耐性も向上します。特定の国や地域に依存せず、広範な市場への進出を図ることで、ある地域での問題がビジネス全体に与える影響を軽減することができます。例えば、ある国での政治的な不安定や天候の変化による供給の中断があった場合でも、他の市場からの売上や供給が継続できるため、リスクを分散させることができます。

リスクの分散はビジネスの安定性を高めるだけでなく、戦略的な柔軟性をもたらします。異なる市場の需要や競争状況に応じて戦略を調整することができるため、変化に素早く対応することができます。また、異なる市場の経済状況や規制の変化にも対応しやすくなります。

越境ECのデメリット

越境ECのデメリットは、異なる国や地域の規制や法的な制約に対応する必要があること、言語や文化の違いによるマーケティングやカスタマーサポートの課題、物流と配送の手続きや時間の増加、異なる通貨や決済システムへの対応が挙げられます。これらのデメリットは企業にとって克服すべき課題であり、計画的な対策と適切な戦略が求められます。

規制や法的な制約:

各国は独自の貿易規制や税制、消費者保護法などを持っており、これらに適合するための手続きとコンプライアンスが必要です。異なる規制環境に慣れない場合、新しい市場に参入する際に予期せぬ障壁が生じる可能性があります。

国や地域ごとに異なる法的な制約も課題です。たとえば、輸入制限や輸出制限、知的財産権の保護など、商品やサービスの取引に関する法的な要件が異なることがあります。これらの制約に対処するためには、現地の法律や規制に精通し、それに準拠する必要があります。法的なコンプライアンスを遵守することは、時間とリソースを要する場合があります。

したがって、越境ECを展開する際には、異なる国や地域の規制と法的な制約に対処するための十分なリサーチと戦略的な計画が不可欠です。専門家や法務アドバイザーの助言を受けることも重要です。

物流と配送の課題:

国境を越えた商品の輸送には、追加の手続きや時間がかかる場合があります。関税や税金の手続き、輸入許可、品質検査などの要件を満たす必要があります。これにより、通常の国内配送と比べて時間とコストが増加する可能性があります。

また、異なる国や地域の法律や規制によって、特定の商品や材料の輸送が制限される場合があります。一部の国では特定の製品や原材料の輸入が禁止されていることもあります。これにより、商品の取り扱いに制約が生じ、需要に対する迅速な対応が難しくなる場合があります。

さらに、国境を越えた配送では、物流パートナーや運送業者との協力が必要です。異なる国や地域の配送ネットワークやロジスティクスインフラを活用する必要があります。国際配送の遅延やトラブルが発生するリスクも存在します。

これらの物流と配送の課題に対処するためには、効率的な供給チェーンの構築や物流パートナーシップの確立が重要です。

税関手続きや関税:

異なる国や地域に商品を輸出する際には、カスタム手続きが必要となります。これには、輸出書類の作成や申告、関税の支払いなどが含まれます。カスタム手続きは煩雑で時間がかかる場合があり、正確な書類作成と手続きの遵守が求められます。

関税も越境ECにおける重要な要素です。商品が国境を越える際には、輸入国の関税制度に基づいて関税が課される場合があります。関税率は商品の種類や原産地によって異なり、輸入商品のコストに影響を与えます。関税の支払いは輸出業者や輸入業者の責任であり、関税の支払い漏れや誤計算による追加費用の発生が懸念されます。

これらのカスタム手続きと関税に関するデメリットを軽減するためには、専門知識を持ったカスタムブローカーや国際物流業者との協力が重要です。適切な書類作成と申告、関税の正確な計算を行うことで、関税支払いの最適化やカスタム手続きのスムーズな進行を実現できます。また、異なる国や地域の関税制度を理解し、商品や市場の選定にも注意が必要です。

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文化や言語の違い:

異なる国や地域では、言語や文化の違いがビジネスに影響を与える場合があります。言語の壁が存在するため、商品の説明やマーケティングコンテンツを適切に翻訳する必要があります。また、文化的な慣習や習慣も異なる場合があり、商品やサービスの提供方法や広告の内容に配慮が必要です。

文化や言語の違いは、カスタマーサポートにも影響を与えます。顧客とのコミュニケーションが円滑に行われるためには、現地の言語に対応したサポート体制を整える必要があります。顧客の文化的背景やニーズを理解し、適切なサポートを提供することが重要です。

これらの課題を克服するためには、異なる文化や言語に関するリサーチと理解が不可欠です。現地の専門家やコンサルタントの協力を得ることも有効です。また、マーケティングや広告の戦略を各国や地域に適応させることで、異文化間のコミュニケーションや顧客の理解を深めることができます。

ローカルマーケットの理解の難しさ:

異なる国や地域に進出する際には、現地の市場環境や消費者の好み、購買行動の傾向を理解する必要があります。しかし、外国の市場を理解することは容易ではありません。

異なる文化、習慣、価値観により、消費者の需要や嗜好が異なることがあります。商品やサービスの提供方法、価格設定、マーケティング戦略などを現地のニーズに合わせて適切に調整する必要があります。さらに、競合他社や現地企業の存在も考慮しなければなりません。競合状況や地域固有の競争力を把握することが重要ですが、これは十分なリサーチや市場分析を必要とします。

ローカルマーケットの理解の難しさは、予想外の課題や失敗のリスクを増加させる可能性があります。ビジネス戦略やマーケティング戦略を誤った判断に基づいて進めてしまうと、現地の消費者からの受け入れが得られず、ビジネスの成功が困難になるかもしれません。

このようなデメリットを克服するためには、現地の市場に関する情報収集と分析を行い、地域固有の消費者ニーズを理解する必要があります。現地のパートナーや専門家との協力も有益です。また、市場参入前に小規模なテストマーケットを実施することで、市場の反応を評価し、調整する機会を得ることも重要です。

初期投資と運用費用:

国境を越えてビジネスを展開するためには、追加の投資が必要となります。例えば、新たな市場への進出には、現地の法律や規制への対応、輸送インフラの整備、商品のローカライゼーション、マーケティング活動などが必要となるため、多額の資金が必要となります。

また、越境ECでは、物流や配送の費用も高くなる傾向があります。異なる国や地域への配送には、長距離輸送や関税支払い、税関手続きなどの追加コストが発生します。さらに、国際的な配送ネットワークを構築するために、物流パートナーとの契約やインフラの整備も必要です。

これらの初期投資と運用費用は、ビジネスの収益性に影響を与える可能性があります。特に、新規市場への参入や拡大戦略を検討する場合には、リスクを正しく評価し、財務計画を十分に立てる必要があります。また、物流や配送のコストを最適化するために、効率的な供給チェーンやパートナーシップを構築することも重要です。

ただし、技術の進歩やグローバルなビジネス環境の発展により、越境ECの初期投資や運用費用は徐々に低減してきています。新たなテクノロジーやオンラインプラットフォームの活用、グローバルな物流ネットワークの整備などが進んでおり、費用削減と効率化が進められています。

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支払いと通貨:

まず、異なる国や地域では、異なる通貨を使用しているため、為替レートの変動や為替手数料が支払いに影響を与えることがあります。国際的な決済手段を導入することで、通貨の変換や支払いの円滑化を図ることができますが、手数料や為替リスクを考慮する必要があります。

また、一部の国や地域では、クレジットカードやオンライン決済サービスが普及していない場合があります。これにより、顧客が支払い方法を制限される可能性があります。さらに、異なる国の法律や規制に準拠しなければならない場合もあり、これに対応するための手続きや管理も必要です。

さらに、顧客の支払いに関しては、セキュリティと信頼性の問題も存在します。異なる国の消費者は、クレジットカード情報のセキュリティや個人情報の保護について懸念を抱くことがあります。これに対応するためには、信頼性の高い決済ゲートウェイやセキュリティ対策を導入する必要があります。

これらの支払いと通貨の問題を解決するためには、異なる国や地域の消費者ニーズや決済環境を理解し、適切な支払いオプションを提供することが重要です。地域に特化した決済サービスやローカルの決済パートナーとの提携を検討することも有益です。また、セキュリティ対策や法的な要件に関しても、専門家の助言を得ることが重要です。

コンプライアンスと規制の管理:

異なる国や地域でビジネスを展開する際には、それぞれの国や地域の法律や規制に適合する必要があります。しかし、異なる国の法律や規制は多様であり、それらを遵守することは複雑な課題となります。

例えば、各国には異なる消費者保護法やプライバシー保護法が存在し、これらの法律に準拠するための対策が必要です。個人情報の収集や取り扱い、広告やマーケティングの規制、商品の安全性や品質基準などに関して、国によって異なる要件がある場合があります。したがって、適切なコンプライアンス体制を構築し、各国の法的要件を遵守することが必要です。

また、関税や輸入制限などの国際貿易の規制も、越境ECにおける課題となります。異なる国や地域間で商品を輸送する際には、関税や税金、輸入許可、品質検査などの手続きが必要となります。これらの規制を遵守するためには、関税コードの把握や税関手続きの理解、輸送業者との適切な連携が重要です。

コンプライアンスと規制の管理は、時間と労力を要する作業であり、ビジネスの運営における大きな負担となる場合があります。特に、多国籍展開を行う場合には、さまざまな法的要件に対応しなければなりません。したがって、国際的な法的専門知識を持つ法律顧問や専門家のサポートを受けることが重要です。また、最新の法律や規制の変更に常に対応し、ビジネスのコンプライアンス体制を継続的に見直す必要があります。

サポートと顧客対応:

まず、言語の違いが顧客対応に課題を生じさせます。異なる国や地域の顧客に対してサポートを提供するためには、それぞれの地域の主要な言語に対応する必要があります。また、翻訳サービスを利用する場合でも、正確なコミュニケーションを図るために専門的な翻訳者や通訳者の協力が必要です。

さらに、時差や地理的な距離により、顧客への対応が遅れる場合があります。異なる国や地域において営業時間や休日が異なるため、リアルタイムのサポートを提供することが難しくなることがあります。顧客の問い合わせや問題解決に迅速に対応するためには、時間帯や地域に合わせたサポート体制を構築する必要があります。

さらに、異なる文化に対応することも顧客対応の課題となります。異なる国や地域では、購買行動やコミュニケーションのスタイル、商品の好みなどが異なる場合があります。そのため、地域ごとに適切なマーケティング戦略やカスタマーサービスを展開する必要があります。

これらの課題に対処するためには、地域に合わせた多言語対応のカスタマーサービスチームの構築や、24時間体制の顧客対応体制の確立が重要です。また、地域ごとの文化や消費者ニーズに精通したスタッフやパートナーの協力を得ることも効果的です。顧客の要求や問題解決に迅速かつ適切に対応するために、サポートプロセスを継続的に改善し、顧客満足度を向上させる努力が必要です。

北米のEコマース例

北米市場のトップ・世界最大級のネット通販サイトーAmazon

それでは最後に、北米のEコマース企業を取り上げます。北米市場のトップシェアを占めているのはAmazon(アマゾン)。日本でもアマゾン・ジャパンをご愛顧にしている方も多いかと思いますが、日本は楽天やYahoo!ショッピングもあり、北米のような独占状態ではないと思います。

下記、Amazonのビジネスモデルの一例を挙げます。

  • オンラインマーケットプレイス
  • フルフィルメントセンター
  • アマゾンプライム
  • データに基づくパーソナライズマーケティング
  • ハードウェアとサービスの統合
  • AIと機械学習の活用
  • バリューチェーン(ロジスティクス)の統合・最適化
  • クラウドコンピューティングサービス(AWS)
  • 顧客中心のUXアプローチ
アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出
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アマゾン(北米)はプロフィットセンターとして、以下の主要な分野に焦点を当てています:

  1. リテール(小売):アマゾンは幅広い商品カテゴリーを提供し、消費者に対して直接製品を販売しています。これには書籍、家電製品、ファッション、家具、食品などが含まれます。
  2. クラウドコンピューティング(AWS):アマゾン ウェブ サービス(AWS)は、クラウドコンピューティングサービスを提供しています。これには仮想サーバー、データストレージ、データベース、アプリケーションホスティングなどが含まれます。
  3. マーケットプレイス:アマゾンはセラーセントラルというプラットフォームを通じて、第三者の小売業者や個人事業主が自社の商品を販売できるマーケットプレイスも運営しています。
  4. プライムメンバーシップ:アマゾンプライムは、顧客に対して特典を提供するメンバーシッププログラムです。プライム会員は迅速な配送、ストリーミングサービス、特別なセールなどの特典を受けることができます。

これらの分野がアマゾン(北米)のプロフィットセンターの中心となっており、会社の利益を生み出しています。ただし、アマゾンは幅広い事業領域(デバイス、グローサリー、メディカル、AIと機械学習など)に進出しており、他にもさまざまな分野で収益を上げています。

世界最大の小売チェーンーWalmart

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出
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©Statista: Revenue of Walmart worldwide from fiscal year 2012 to 2023

Walmartは、アメリカ合衆国を本拠地とする世界最大の小売業者であり、ディスカウントストアチェーンです。1962年にサム・ウォルトンによって設立され、現在では世界各国に店舗を展開しています。アメリカでは2023年7月時点で4,630店舗、前期(2023年)の売上げはグローバルで61兆1千億円となっています。

Walmartは、幅広い製品カテゴリーを提供しており、食料品、衣料品、家庭用品、電子機器、家具、自動車用品、おもちゃなど、さまざまな商品を取り扱っています。また、Walmartはエコノミー・オブ・スケールの利点を活かし、競争力のある価格で商品を提供することで知られています。

Walmartは、スーパーセンター(食料品と一般商品を併せ持つ大型店舗)、ディスカウントストア、ネイバーフッドマーケット(小規模の食料品店)など、さまざまな店舗形態を展開しています。また、オンライン販売も行っており、ウェブサイトやモバイルアプリを通じて商品を購入することも可能です。

Walmartは、世界中で数百万人の従業員を抱える大手企業であり、その規模と影響力から、小売業界や労働市場において重要な存在です。また、WalmartはCSR(企業の社会的責任)にも積極的に取り組んでおり、社会への貢献や環境保護活動にも力を入れています。

世界最大級の越境ECマーケットプレイスーeBay(イーベイ)

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出
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©Statista: Annual net revenue of eBay from 2013 to 2022

eBayは、アメリカ合衆国を本拠地とするオンラインオークションおよび電子商取引プラットフォームです。1995年にピエール・オミダイア(Pierre Omidyar)によって設立され、世界中で利用されています。前期の売上げは約$9.8Bとなっています。

eBayでは、個人や企業が新品または中古品の商品を出品し、他のユーザーが入札または即決価格で購入することができます。オークション形式の取引では、一定期間中に入札価格が上昇し、最も高い入札者が商品を獲得します。一方、即決価格形式の取引では、商品が一定価格で即座に購入できます。

eBayは、幅広い商品カテゴリーを扱っています。衣料品、家電製品、コンピューター、自動車、コレクターアイテム、書籍、美容用品など、さまざまな種類の商品が出品されています。また、一部の国や地域ではeBayストアを開設し、出品者が独自のオンラインショップを運営することもできます。

eBayは、ユーザー間の評価システムを導入しており、出品者や購入者の信頼性を高めるために役立ちます。また、セラーやバイヤーの保護プログラムも提供しており、取引時のトラブルに対処する仕組みも整っています。

近年、eBayはオンラインマーケットプレイスの枠を超えて、新たな販売形態やビジネスモデルを取り入れています。個別の出品やオークションに加えて、固定価格での商品販売やeBayストア内でのブランド展開も可能となっています。

ECサイトの開発をより身近に・より簡単にーShopify(ショッピファイ)

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出

Shopify(ショピファイ)は、オンラインストアの作成と運営を簡素化するための非常に人気のあるプラットフォームです。ユーザーは専門的なウェブ開発の知識を持っていなくても、直感的なインターフェースを使用してストアを設計し、商品を販売することができます。さまざまなデザインテンプレートやカスタマイズオプションを活用することで、ストアの外観を個別に調整することが可能です。

Shopifyはまた、ビジネスの成長に不可欠な機能を提供しています。在庫管理、注文処理、顧客サポート、マーケティングツールなどの機能は、効率的なビジネス運営をサポートするために統合されています。さらに、オンライン決済や配送オプションの統合により、顧客の購買体験を円滑化することができます。

一つの特徴的な点は、Shopifyアプリストアが豊富なアプリと拡張機能を提供していることです。ユーザーはさまざまなアプリケーションやツールを利用して、ストアの機能を追加および拡張することができます。例えば、顧客の分析、SEOツール、メールマーケティングツールなどがあります。これにより、ユーザーはビジネスニーズに合わせてShopifyの機能をカスタマイズすることができます。

Shopifyは、オンラインでのビジネス展開を検討している個人や企業にとって、信頼性の高いプラットフォームとして広く選ばれています。簡単なセットアッププロセス、ユーザーフレンドリーなインターフェース、幅広い機能、そして24時間365日のサポート体制など、多くの利点があります。これらの理由から、Shopifyはeコマースの世界で成功を収めています。

参考: Shopify(ショッピファイ)とは?:Shopifyのサービスとメリット

JETRO:米国/英国Amazon越境EC『JAPAN STORE』出品支援

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JETRO(ジェトロ)は、日本の国際貿易振興機関であり、日本の企業の海外進出や海外企業の日本進出を支援する役割を果たしています。JETROは、外国企業と日本企業とのビジネスマッチングや貿易促進活動、投資環境の整備など、幅広いサービスを提供しています。

ジェトロとAmazonが日本の事業者の商品を掲載・特集するストア「JAPAN STORE」を、Amazon.com(米国)とAmazon.co.uk(英国)、またそれぞれのマーケットプレイス上の法人・個人事業主向けの購買サイトであるAmazon Businessにオープンしています。自社プロダクトの海外展開をお考えの方は、下記ご確認の上、相談してみてはいかがでしょうか?

JETRO(ジェトロ): 米国/英国Amazon越境EC『JAPAN STORE』出品支援

アメリカ進出のご相談は、ミシガン州経済開発公社へ

ミシガン州経済開発会社では、アメリカ・ミシガン州へ進出される企業様に下記サポートプログラムをご用意しております。
・ミシガン州ビジネス発展プログラム
・「経済のガーデニング」プログラム
・GOOD JOBS FOR MICHIGAN
・ミシガン州インセンティブプログラム

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