【アメリカの今を知る】アメリカの経済観測とビジネス動向・成長産業

2023年3月10日、シリコンバレーバンクの破綻は、アメリカのIT・テクノロジー関連企業や投資家にとって衝撃的なニュースでした。同行はシリコンバレーのスタートアップやテクノロジー企業を多く取引先に持つ銀行であり、多くの企業が同行をメインバンクにしていたため、その破綻により、シリコンバレーのスタートアップ・テクノロジー関連の業界は大混乱の週末となりました。最終的には、政府が介入し、預金については全額保証することを決定しましたが、その後、複数の銀行が破綻するのではないかと報じられています。

ただし、シリコンバレーバンクの破綻は、単一の事業銀行の破綻としては小規模であり、アメリカ経済全体から見るとそれほど大きな影響を与えることはありませんでした。

FDIC: Bank Failures in Brief – 2023

2023年1月時点で、アメリカの銀行規模トップ20は以下の通りです。

ランク 銀行名 総資産
1 JPモルガン・チェース・バンク $ 3,201,942,000
2 バンク・オブ・アメリカ $ 2,418,508,000
3 シティバンク $ 1,766,752,000
4 ウェルズ・ファーゴ銀行 $ 1,717,531,000
5 USバンク $ 585,135,605
6 PNCバンク $ 552,307,127
7 トラストバンク $ 546,228,000
8 ゴールドマン・サックスバンクUSA $ 486,967,000
9 キャピタルワン $ 453,313,240
10 TDバンク $ 386,799,237
11 チャールズ・シュワブバンク $ 348,731,000
12 ニューヨークメロンバンク $ 324,646,000
13 ステートストリート バンク & トラスト カンパニー $ 298,020,000
14 シチズンズ バンク $ 226,401,591
15 ファーストリパブリックバンク $ 212,638,872
16 モーガン・スタンレー・プライベート・バンク $ 209,664,000
17 シリコンバレーバンク $ 209,026,000
18 フィフスサードバンク $ 206,289,179
19 モーガン・スタンレー銀行 $ 201,363,000
20 マニュファクチュア & トレーダーズ トラスト カンパニー $ 200,262,969

ネガティブなニュースのインパクトが大きい一方、ポジティブなニュースがグローバルに影響を与えるのもアメリカならではです。2ヶ月で1億ユーザーを獲得したChatGPT(チャットGPT)はその一例です。

今のアメリカをどのように捉えるのか、多くのアメリカ有識者に読まれている本が、世界最大のヘッジファンド、ブリッジウォーター・アソシエイツの共同最高投資責任者であるRay Dalio(レイ・ダリオ)氏の「The Changing World Order(変化する世界秩序)」です。本書では歴史を通じて帝国の盛衰と、それが現在の世界情勢とどのように関係しているかについて論じています。 彼は、アメリカが支配的な世界大国としての地位を失い、中国がその地位を獲得しようとしている歴史の転換点に私たちはいると主張しています。

ダリオ氏は、歴史を通じて起こった経済的および政治的権力のサイクルについて議論し、世界の現在の状態と過去の帝国の興亡との類似点を強調しています。 彼は、アメリカは政治的二極化、債務水準の上昇、人口の高齢化などの課題に直面しており、世界的な優位性を維持する能力を妨げていると主張しています。一方、中国は経済を急速に成長させ、テクノロジーとインフラストラクチャに多額の投資を行っており、今後数十年で世界を支配する大国になることを目指しています。

ダリオ氏によると、この変化する世界秩序を乗り切るための鍵は、単一の支配的な力に依存するのではなく、各国がより多極化した世界に適応し、協力することです。 アメリカやその他の国々が、中国やその他の台頭する大国との関係を強化するために取り組むべきであると同時に、世界経済で競争力を維持するために教育、インフラストラクチャ、テクノロジーに投資する必要があると示唆しています。

数年後には、アメリカはGross domestic product (GDP)*トップの座を中国に譲ることになるのかもしれません。それでも、世界の中で第二位であり、悲観することではありません。短期的には、アメリカはアップダウンを繰り返していますが、それでも長期的に見れば、成長傾向が続きます。

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参考:Our World in Data: Future Population Growth
©OurWorldInData.org/future-population-growth • CC BY / Source: United Nations – Population Division (2022)

アメリカの経済観測

上述のシリコンバレーバンクの破綻に影響を与えたと言われる金利引き上げ。米連邦準備制度理事会(FRB=Federal Reserve Board)*のパウエル議長は、「インフレ沈静化のため複数回の追加利上げが必要になる」と指摘しています。3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)*の会見でも、25ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)の利上げが実施されました。

・インフレの抑制を優先し、2023年も金融引き締めを継続する見込み
・サービス業の消費は堅調で、流通・物流業や飲食・宿泊・娯楽業など、サービス業は回復傾向
・一方、製造業と小売業は、財の消費が減速したことを受け、ともに伸び悩み、建設業も、住宅需要の後退により大きく減少
・労働需給に不透明感、成長の鈍化により、労働需要は縮小していく予測
・労働者は新型コロナウイルス禍前と比べ約350万人減少、労働者不足という構造的な問題により、賃金は高止まりし短期間で低下する可能性は低い
・アメリカの経済は、インフレと金融引き締めから成長が鈍化傾向
・2023年の実質GDP成長率は0.5%と見通し
・市場では、大半が穏やかな景気後退を想定

*米連邦準備制度理事会(FRB)は中央銀行の役割を果たしており、政策金利や通貨供給量の変更を通じて、物価の安定を維持し、雇用を最大化することを目的にしています。
*連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)は、連邦準備制度理事会(FRB)が原則として年に8回開く委員会のことです。

参照:U.S. Department of Commerce
参照:Federal Reserve Board
参照:The Fed – Federal Open Market Committee

インフレーションとは?

インフレーションとは、資源価格の高騰と人手不足や物流の停滞といった供給制約が連鎖し、コストを押し上げることです。 コロナ後の経済再開で需要が急回復し、米国の消費者物価上昇率は2022年5月に8.6%と40年5カ月ぶりの水準になりました。 こうした旺盛な需要に供給が追いつかない場合、インフレとなります。

・パンデミックによる供給側の混乱
・アメリカ政府が行った1,400ドルの現金給付
・米連邦準備制度理事会(FRB)、政策金利をゼロに引き下げ
・量的緩和(QE)政策(中央銀行が新規発行するお金で国債などの金融資産を購入する政策)を実施
・国内の工場、港湾、トラック会社、倉庫などで労働力が不足し、サプライチェーンが分断
・モノやサービスに対する強い需要がある一方、供給側はその需要を満たすことができず、モノやサービスの価格が上昇

金利引き上げの影響

金利引き上げの影響は、下記のような可能性があげられます。

・インフレの抑制:金利が高くなると、お金を借りる費用が高くなり、支出が減り、商品やサービスの需要が減る。 これにより、インフレ率が低下する。
・経済成長の鈍化:金利上昇により、企業や消費者の借入コストが増加し、支出や投資の減少につながる。 これにより、経済成長が鈍化し、インフレが抑制される。
・通貨の強化:金利が高いと、投資家にとって国の通貨がより魅力的になり、通貨の需要が高まり、その価値が高まる。
・失業率の上昇:金利が高くなると、企業がお金を借りるコストが高くなり、投資や雇用の減少につながる。 これにより、失業率上昇の要因になる。
・株価の下落:金利が上昇すると、株式やその他の投資の魅力が低下し、需要が減少し、株価が下落する可能性があります。

経済が弱いとき、中央銀行は金利を引き下げて借り入れと支出を刺激し、経済活動を後押しします。 金利が低下すると、お金を借りる費用が安くなり、投資、雇用、消費の増加につながるためです。

逆に、経済の成長が速すぎてインフレが懸念される場合、中央銀行は金利を引き上げて経済成長を鈍化させ、インフレを抑えます。 金利が高くなると、借入を控え、投資と支出が減り、結果インフレ抑制につながります。

これらの広範な経済目標に加えて、金融市場でも役割を果たします。 金利の変化は、株式、債券、およびその他の投資の価値に影響を与え、投資家や経済全体に大きな影響を与えます。

全体として、金利政策は中央銀行が経済を規制し、物価の安定を促進し、雇用を最大化し、経済成長を促進するという目標を達成するための重要なツールです。

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Trading Economics: United States Fed Funds Rate

アメリカのビジネス動向・成長産業

現在のアメリカ

2023年はアメリカの景気後退が予測されている一方、世界的に見れば、人類は第三次産業革命の真っ只中にいることも事実です。

第一次産業革命(18世紀後半~19世紀初頭)
蒸気機関の発明、綿織物業の機械化などにより、英国の工業生産が急速に発展しました。炭鉱や工場などの労働環境は非常に厳しいものでしたが、生産性の向上や商品の多様化により、英国の経済力は大幅に増大しました。

第二次産業革命(19世紀後半~20世紀初頭)
電気、石油、自動車などの技術革新により、工場の生産性がさらに向上しました。また、鉄道や船舶などの交通機関の発展により、輸送コストが低下し、市場の拡大が進みました。

第三次産業革命(20世紀後半~現代)
情報技術の発展により、コンピューターなどのデジタル技術が急速に進歩し、製品やサービスの生産や配信が自動化されています。また、環境問題や資源の枯渇などの社会課題に対応するため、再生可能エネルギーやエコ技術の開発が進められています。

投資が活発なアメリカでは、消費者の生活を変える次世代のビジネスが既に動き出しています。

2022年11月にリリースされたChatGPTがグローバルでインパクトを与えていますが、プロジェクト自体は10年前*に始まっています。いつ実際にマーケットに登場し、消費者の行動を変えるかは予想できませんが、下記ピックアップした成長が期待される産業は、日常のニュースとして見聞きするものです。一般の消費者の耳に入る情報は、既に過去に投資が行われ、研究・開発が順調に進み、実用化が期待されているものです。

アメリカに限らず、世界中でいろいろな分野で研究・開発は行われていると思いますが、アメリカはビジネスを想定したものが多い、またはビジネスモデル化し、グローバルに展開することを得意にしているように感じます。バックグラウンド(多民族)の違いや貧富の差、人種差別が存在しても、ワンアイディアと実行力で誰にも成功のチャンスがある国、アメリカンドリームという言葉が存在する所以です。

それでは、現在、または近い将来、トレンドとなりそうな成長産業について取り上げてみます。

*OpenAIは、10年前に、SpaceX・Tesla CEO、TwitterオーナーのElon Musk、LinkedInの共同創設者であるReid Hoffman、Founders FundのパートナーであるPeter Thiel(Facebookの初期投資家、Palantir Technologiesの共同創設者)、Stripeの元最高技術責任者で現在 OpenAI の社長兼会長であるGreg Brockmanを含む著名な投資家から10億ドルの資金を調達して立ち上げられました。

A.I.関連事業

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上記でも触れた、最近話題のChatGPT は、OpenAIによって作成されたAI言語モデルです。これは「Generative Pre-trained Transformer」の略で、Transformerと呼ばれるニューラル・ネットワーク・アーキテクチャに基づいています。 ChatGPTは膨大な量のテキストデータで事前にトレーニングされており、さまざまな質問やトピックに対して人間のような応答を生成できます。ChatGPTは自然言語を理解し、プロンプトに応じてテキストを生成できます。チャットボット、仮想アシスタント、その他の自然言語処理アプリケーションで既に使用されています。

人工知能 (A.I.) は、多くの産業や分野にわたって幅広いアプリケーションを持っています。 いくつかの一般的な例は次のとおりです。

ビジネス全般:
データを分析し、パターンを特定して、企業がより多くの情報に基づいた意思決定を行えるようにします。 また、反復的なタスクを自動化し、効率を向上させます。

医療業界:
患者データと医療記録を分析することで、医師や医療専門家がより正確な診断を行うことができます。 また、個別の治療計画の作成や手術の支援にも活用できます。

教育業界:
学生向けにパーソナライズされた学習体験を作成し、個々のニーズに適応させ、進捗に関するフィードバックを行います。

金融業界:
不正行為を検出、市場動向を分析、投資の推奨などに活用できます。

製造業界:
生産プロセスを最適化し、機器のパフォーマンスを監視し、ダウンタイムや遅延が発生する前に潜在的な問題を特定できます。

輸送業界:
交通の流れを改善し、配送と物流のルートを最適化し、ドライバーの安全性を強化できます。

カスタマーサービス:
チャットボットは、24時間年中無休のカスタマーサポートを提供し、よくある質問に回答し、複雑な問題に対しては人間の担当者につなぐことができます。

これらは、今日A.I.がさまざまな方法で使用されているほんの一例です。 A.I.技術の進歩に伴い、今後さらに多くのアプリケーションが登場する可能性があります。

なお、現代人の働き方を根本的に変える可能性のあるA.I.テクノロジーですが、そのサービスを全世界へデプロイするにはクラウドサーバーが必要です。そのクラウドサーバーの大手は、Amazon(AWS)、Microsoft(Azure Public Cloud)、Google(Google Cloud)と、ここでもアメリカ企業がマーケットを占めています。

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バイオテクノロジー産業

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アメリカは、医療や農業分野でのバイオテクノロジーで、世界のリーディングカントリーの一つです。遺伝子療法、ゲノム編集、バイオマテリアルなどの分野において、アメリカの企業は高度な研究開発を行っています。

下記、バイオテクノロジー企業の一例を挙げます。

モデルナ (Moderna)
モデルナは、メッセンジャーRNA (mRNA) 技術を使った新しいタイプのワクチンを開発している企業です。同社のCOVID-19ワクチンは、世界中で大きな注目を集め、高い効果を示しました。

アマリリス・ニュークリアス (Amaryllis Nucleics)
アマリリス・ニュークリアスは、がん治療に特化したバイオテクノロジー企業です。同社は、がん細胞を破壊する新しいタイプの薬剤を開発しています。

イルミナ (Illumina)
イルミナは、遺伝子解析技術を用いたバイオテクノロジー企業です。同社は、高速かつ低コストで遺伝子解析ができる次世代シーケンシング技術を開発しています。

ジェノミック・ヘルス (Genomic Health)
ジェノミック・ヘルスは、がん治療における遺伝子解析技術を用いた診断キットを開発しているバイオテクノロジー企業です。同社の診断キットは、がんの種類や進行度合いを正確に判断することができます。

以上のように、アメリカには多くのバイオテクノロジー企業が存在しており、その技術は医療分野だけでなく、農業や環境分野でも活用されています。

遺伝子療法で注目を集めているのが、CRISPRテクノロジー。遺伝子編集技術の一種であり、細胞のDNAに特定の変更を加えることができます。CRISPRは、Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeatsの略で、これは細菌がウイルスに対抗するために自己防御のために進化した機構に由来しています。

CRISPRは、CRISPR-associated (Cas) タンパク質と呼ばれる分子と共に働いて、特定のDNA配列を認識し、カットすることができます。この機能を利用することで、CRISPRテクノロジーを用いて、細胞の遺伝子情報を編集することができます。

CRISPRテクノロジーは、遺伝子疾患の治療や、遺伝子改良された農作物の開発、さらには絶滅危惧種の保護など、多岐にわたる分野での利用が期待されています。しかし、この技術が持つ可能性に加えて、倫理的な問題や安全性の懸念も指摘されています。CRISPRテクノロジーは、まだ比較的新しい技術であるため、その利用や規制については今後、国際的な議論が進められることが予想されます。

YouTube:TedEd – How CRISPR lets you edit DNA – Andrea M. Henle

ヘルスケア産業

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人類の寿命は年々延長しており、2022年の世界平均寿命値は72.98歳でした。医療技術の進歩により、今後も平均寿命は伸びていくことが予測されています。2020年に世界に蔓延したコロナ禍で生まれたトレンドは、コロナ後も途絶えることなく、一般化し始めています。ビジネス(ホスピタリティ・サービス業)として変化の遅れている医療分野ですが、医師と患者の関係性も変わってきています。

テレヘルス:
テレヘルスは、オンラインで医師とのビデオチャットや電話相談を通じて診察や診断を行う方法です。COVID-19のパンデミックが拡大したことで、テレヘルスの需要が急増し、利用者が増加しています。今後もテレヘルスは、便利で効率的な医療の提供方法として、ヘルスケア産業において重要な役割を果たすことが期待されています。

デジタルヘルス:
デジタルヘルスは、モバイルアプリやセンサー、ウェアラブルデバイスなどを用いて、健康管理や予防医療を提供することです。デジタルヘルスの技術は、患者の健康情報をリアルタイムで収集し、医師がより正確な診断や治療プランを立てることができるようになっています。また、デジタルヘルスは、患者自身が健康管理に積極的に取り組むことを促進することもできます。

人工知能(A.I.):
人工知能の技術は、医療診断や治療、健康管理において重要な役割を果たすようになっています。A.I.を利用することで、医師はより正確な診断を行い、治療プランを立てることができます。また、A.I.によって、患者の健康データを監視し、早期に健康リスクを検知することができるようになっています。

遺伝子療法:
上記、CRISPRテクノロジーは、ヘルスケアにも関連します。遺伝子療法は、遺伝子を修正して疾患を治療する方法です。現在、遺伝子療法は、血液がんや難治性の遺伝子疾患を治療するために利用されていますが、今後はより多くの疾患を治療するために利用されることが期待されています。

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宇宙関連事業

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日本の新型主力ロケット「H3」の打ち上げ失敗は、アメリカメディアCNBCでも報じられていました。現在、世界のリーディングカンパニーであるSPACE X(スペース・エックス/CEO: Elon Musk/2002年創業)は、当初打ち上げには3度失敗していますが、それは今から10年以上前のことです。以来、ロケット発射後、空中で爆発した映像は記憶にありませんが、Googleによると、2010年6月以降、Falcon 9関連のロケットは、218回打ち上げられ、216回の完全なミッション成功、1回の部分的な失敗、1回の宇宙船の完全な損失があったということです。今では定期的に打ち上げを行なっており、Starlinkは全世界に安定したインターネットサービスを届けるため準備を着々と進めています。

その他、宇宙関連のニュースでは、先日Relativity Space(レラティビティスペース)が3Dプリンティングで作られた再利用可能ロケットの発射実験に成功しました。まだすぐには実用化には至りませんが、この成功により、ロケット開発コストが大幅に抑えられることが期待されています。

科学的探査:
宇宙開発は、天文学や物理学など、さまざまな科学分野の研究に不可欠なものです。宇宙空間は、地球上では得られない情報や知識を提供してくれます。例えば、宇宙空間から得られた情報は、宇宙の起源や進化、地球の気候変動や自然災害などの研究に貢献しています。

経済的利益:
宇宙開発は、衛星や通信技術、衛星ナビゲーションシステム、天気予報、医療技術、防災技術など、さまざまな産業に利用される技術を開発することができます。また、宇宙観光、宇宙空間でのリソース採掘などの新たな産業も生み出されることが期待されています。地球でのトランスポーテーションにも大きな影響があります。Starshipと呼ばれるこのロケットは、地球上の都市と都市を、約30分前後で移動可能にするということです。

国際的な関係強化:
宇宙空間は国家安全保障上の重要な領域であり、通信衛星や偵察衛星の開発や宇宙防衛システムの整備などが行われます。宇宙開発は、国際的な協力と連携を促進することができます。宇宙開発は、宇宙ステーションや国際宇宙ステーションなど、国際的なプロジェクトによって進められおり、これらのプロジェクトは、さまざまな国々が協力し、宇宙開発を推進することで、国際的な関係の強化にもつながります。

人類の進歩:
宇宙開発は、人類の進歩にも貢献しています。人間が宇宙に到達することは、人間の可能性についての新たな発見を生むだけでなく、人間の技術力や創造力を高めることにもつながります。また、宇宙開発には、次世代の科学者やエンジニアを育成する役割もあります。

クリーンエネルギー・資源開発産業

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石油が完全に枯渇する正確な時期はわかっていませんが、多くの専門家は、石油が枯渇する前に代替エネルギー源に移行する必要があると警告しています。石油の枯渇には、多くの要因が影響します。これらの要因には、地球内部の石油資源量、採掘技術の進歩、新しい石油田の発見、消費量の増加、石油代替品の開発などが含まれます。

再生可能エネルギーの普及:
再生可能エネルギーの開発が進んでいます。太陽光発電や風力発電の技術が進歩し、これらのエネルギー源はより安価で効率的になっています。太陽光パネルや風力タービンなどの設備のコストが低下する一方、蓄電技術が向上し、再生可能エネルギーの導入がますます広がっています。

電気自動車の普及:
電気自動車(EV)の需要が急増しています。EV自体の性能向上だけでなく、インフラ(充電スポットの設置)が全米で進んでいるので、消費者の抵抗感が下がっています。また、バイデン政権がEVに関する税制優遇措置を導入しているため、より多くの消費者がEVに興味を持っています。

エネルギー効率の向上:
エネルギー効率の向上にも注力されています。建物や工場、輸送などの分野で、省エネルギー技術が採用され、エネルギー消費を削減することができるようになっています。

新技術の導入:
クリーンエネルギー・資源開発産業では、新技術の導入が進んでいます。例えば、人工知能やブロックチェーン技術を活用して、エネルギーの生産・分配や資源の管理をより効率的かつ安全に行うことができるようになっています。

持続可能性の強化:
クリーンエネルギー・資源開発産業では、より持続可能なビジネスモデルの採用が進んでいます。環境保護や社会的責任を重視したビジネスを展開する企業が増加し、環境に配慮したビジネス活動が求められています。

2022年末、クリーンエナジーとして活用が期待される、ニュークリア・フュージョン・エナジーのブレイクスルーがあったと報道されていました。ニュークリア・フュージョン・エナジーは、二つの軽い原子核が高温高密度の状態で融合して、重い原子核を生成し、その過程でエネルギーが放出される現象です。このプロセスによって放出されるエネルギーは、原子爆弾に使われる核分裂エネルギーとは異なり、大量のエネルギーを生成するだけでなく、放射性廃棄物の生成量も少ないことが特徴です。

ニュークリア・フュージョン・エナジーの研究は、高温プラズマを制御し、極端な環境下での原子核反応を実現するための技術革新を必要とします。現在、世界中の研究者たちが、国際的な協力のもとに、ITER(国際熱核融合実験炉)などの大型実験装置でニュークリア・フュージョンの実現に向けた研究を進めています。

ニュークリア・フュージョン・エナジーが実現すれば、地球上のエネルギー需要を賄うために必要なエネルギーを、環境に配慮した方法で供給することができると期待されています。しかし、まだ研究段階であり、実用化までには課題が残っています。

NYT: Scientists Achieve Nuclear Fusion Breakthrough With Blast of 192 Lasers

インフラストラクチャー産業

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バイデン政権は、道路、橋、トンネル、水道などの基盤の更新、電気自動車の充電ステーションの建設、ブロードバンド・インターネット接続の拡大、高速鉄道など、インフラの近代化と拡充を促進するための2兆ドルの「アメリカン・ジョブズ・プラン」を発表しました。

主な内容は以下の通りです。

インフラストラクチャーの近代化と拡充
・道路、橋、トンネル、水道などの基盤の更新
・電気自動車の充電ステーションの建設
・ブロードバンド・インターネット接続の拡大
・高速鉄道の整備など

グリーンエネルギーの普及
・再生可能エネルギーの開発と利用の促進
・電気自動車の普及のための充電インフラの整備

雇用創出
・インフラストラクチャーの整備、グリーンエネルギーの普及による雇用の創出

富裕層・大企業の課税強化
・富裕層や大企業に対する課税を強化し、収入の再配分を図ることで、アメリカの社会的不平等を解消することを目指す。

アメリカン・ジョブズ・プランは、バイデン政権が重点的に取り組む政策の一つであり、インフラストラクチャーの整備やグリーンエネルギーの普及による雇用創出、富裕層や大企業の課税強化など、アメリカの経済発展を促進することが狙いとされています。

参照:Infrastructure Investment and Jobs Act

電気自動車補助金制度修正案では、各自動車メーカに割り当てられた上限台数を撤廃し、代わりに車両の販売価格に対して補助金を給付する内容となっています。新車に対する補助金は最大$7,500で、対象条件として希望小売価格がそれぞれ普通自動車は$55,000以下、ピックアップ、SUVとワゴン車は$80,000 以下となっています。中古車の補助金は最大$4,000となり、販売価格が$25,000以下の車両が対象となります。また購入者の所得も条件の一つとして考慮され、新車購入の場合、独身者$150,000以下(世帯収入$300,000 以下)、中古車購入は独身者$75,000以下(世帯収入$150,000以下)が条件となっています。

前述の条件に加え、販売される車両がアメリカと自由貿易協定を結んでいる国で採取された資源(リチウムなどのレアメタル)、またはそれら協定国で処理された資源を利用し、且つ部品の大部分が北米で製造または組み立てられたバッテリーが搭載されている事が条件となります。

AR/VR

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2021年10月28日、フェイスブックは社名をMeta(メタ)変更し、AR/VR事業(広義として、メタバース)の構築に同社が新たに注力することを発表しました。メタバースは、人々が互いに、またデジタル オブジェクトと現在よりも没入的でインタラクティブな方法で対話できる仮想世界を表すために使用される用語です。

メタバースは、インターネットの次のフロンティアであり、人々の働き方、学習方法、社交方法、さらには買い物の方法を変える可能性のある革新的な技術と見なされています. メタとしてブランドを変更することにより、Facebook はこのビジョンへのコミットメントと、メタバースの開発における主要なプレーヤーになる、広い野心を表すことを意図しています。年間予算$10B(約1.3兆円)を投じています。

一般的にはゲームやソーシャルメディアの利用と思われていますが、AR/VRの領域はそれに留まりません。教育から軍事、医師、医療、パイロットやドライバー等のトレーニングまで、幅広い利用方法が期待されています。

ARの使用例
マーケティング:
ARを使用することで、製品やサービスを実際に試したり、試着したりすることができます。例えば、アパレルブランドは、顧客がスマートフォンで自分自身の姿を撮影し、商品を仮想的に試着することができるARアプリを提供しています。

教育:
ARを使用することで、教育プログラムを強化することができます。例えば、生物学の授業で、生徒たちはARを通じて3Dモデルを使用して、動物や植物の内部構造を観察することができます。

観光:
ツアーガイドがARアプリを使って、観光名所の歴史や文化について説明することができます。コロナ禍では、バーチャル美術館でアートを楽しむという、新しい試みも始まっています。

ヘルスケア:
ARは、医療分野でも利用されています。例えば、ARアプリを使って、手術の前に医師が患者の体の内部を表示し、手術計画を立てることができます。

建築・不動産:
ARの活用例として、現実の部屋のなかに仮想の家具を置いてリアルな空間として知覚すること、現実の土地に仮想の建物を建築して、空間的な調和や景観を確認することなどがあります。

メンテナンス:
ARは、機械のメンテナンスや修理にも使用されます。例えば、技術者は、ARヘッドセットを使用して、実際の機械にアクセスすることができ、手順や注意点を表示して、作業をより効率的に進めることができます。

VRの使用例
ゲーム:
VRは、ゲーム業界で最も普及している用途の1つです。VRヘッドセットを使用することで、プレイヤーは現実世界とは異なる仮想世界で、より現実的な体験を楽しむことができます。

トレーニング:
安全な環境でリアルなトレーニングを提供することができます。例えば、航空機のパイロットは、VRを使用して、リスクを冒すことなく様々なシナリオでの訓練を受けることができます。

テレプレゼンス:
遠隔地からのテレプレゼンスを提供することができます。例えば、医療関係者は、VRを使用して、手術を行うために遠隔地の医師と協力することができます。

教育:
VRは、教育分野でも利用されています。例えば、歴史の授業で、生徒たちはVRヘッドセットを使って、歴史的な場所を仮想的に訪れ、その時代の文化や環境について学ぶことができます。

ヘルスケア:
医療分野での活用例として、心理療法のセッションで、患者はVRヘッドセットを使って、フォビア(恐怖症)の克服を試みることができます。

建築・不動産:
VRは、建築・不動産分野でも利用されています。例えば、VRヘッドセットを使って、建物の外観や内部構造を仮想的に表示し、建築家や不動産業者が設計や販売に役立てることができます。

以上がAR/VRの使用例です。今後もAR/VRの技術は進化していくため、今後も新たな使用例が現れる可能性があります。

アメリカのテクノロジーを支える日本の技術

日本ブランドが一線で聞かれることは少なくなってきているように思いますが、ビジネスはフロントラインだけで成り立っているものではありません。B2Bとして最先端のビジネスの見えない部分で日本企業が貢献しているケースも多くみられます。

例えば、日本で人気のiPhone(Apple)の製造には、日本企業の技術が数多く使われ、最新テクノロジーの実現に貢献しています。

iPhoneの製造に関連する日本企業の一例を挙げます。

・スマトラ(SUMCO):半導体ウエハー
・TDK:電子部品(センサー、スピーカーなど)
・京セラ(KYOCERA):セラミック部品(タッチパネル、カメラレンズなど)
・日本精工(NSK):ベアリング(回転部品)
・ファナック(FANUC):ロボットアーム、工作機械
・パイオニア(Pioneer):カーオーディオ関連製品
・ソニー(Sony):カメラセンサー、ディスプレイ
・村田製作所(Murata Manufacturing):セラミックコンデンサー、センサー

なお、これら以外にもアップル製品の実現に貢献している技術力のある日本企業は多数存在します。

トヨタ自動車:
自動車産業において、ハイブリッド車や電気自動車の技術で先進的な研究開発を行っています。Kaizen(改善)フィロソフィはアメリカのビジネスでも通じる言葉です。

ソニー:
テクノロジー分野において、映像技術や音響技術を中心に、ゲーム、音楽、映画などのエンターテインメント産業に貢献しています。プレイステーション5は、X-BOX(エックス・ボックス)と並び人気です。グローバルでのシェアは約45%とリードしています。

パナソニック:
電気自動車や太陽光発電などの環境技術に注力しており、スマートシティなどの新しいビジネスモデルにも取り組んでいます。バイデン政権のアメリカン・ジョブズ・プランの発表を受け、北米への投資(リチウムイオンバッテリー工場の設立など)を積極的に行なっています。

富士通:
ICT分野において、クラウドコンピューティング、人工知能、ロボティクスなどの分野で、アメリカの企業との協業や投資を積極的に進めています。

日立製作所:
デジタル産業において、クラウドソリューション、ビッグデータ、人工知能などの分野で、アメリカ企業との共同研究や事業展開を行っています。

日本製鋼所:
鉄鋼産業において、高張力鋼板やアルミニウム板などの軽量・高強度素材を開発しています。自動車や航空機産業で使用され、アメリカ市場でも高い評価を得ています。

三菱重工業:
航空機や宇宙産業において、世界的にも高い技術力を誇ります。アメリカのボーイング社とのパートナーシップや、スペースX社との宇宙開発分野での協力関係を築いています。

野村ホールディングス:
ファイナンス産業において、投資銀行、証券、資産運用などの領域で、アメリカ市場でも高いシェアを持ちます。近年では、フィンテックやAIを活用した金融サービスにも取り組んでいます。

セコム:
セキュリティ産業において、防犯システムやビル管理などの分野で、アメリカでも高い評価を得ています。また、ドローンを活用した防犯サービスなど、最新技術を取り入れたサービスも展開しています。

日本のものづくりやサービスのアメリカ展開を、これからもサポートして参ります。

アメリカ進出のご相談は、ミシガン州経済開発公社へ

ミシガン州経済開発会社では、アメリカ・ミシガン州へ進出される企業様に下記サポートプログラムをご用意しております。
・ミシガン州ビジネス発展プログラム
・「経済のガーデニング」プログラム
・GOOD JOBS FOR MICHIGAN
・ミシガン州インセンティブプログラム

アメリカ進出を検討されている企業向けに様々なサービスをご用意しています。コンサルティングだけではなく、事業所・工場予定地の紹介、現地視察のアテンド、従業員採用サポートなどを無料でご提供します。

アメリカ進出のサポートにご興味のある方は、こちらからお問い合わせください。

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20年以上の北米セールス及びマネージメント経験を持つスタッフが、日米双方で無料コンサルティング。検討以前にアメリカでの事業展開の可能性について詳しく知りたい企業様、また具体的にアメリカ進出の実現に向けて動き出している企業様まで、御社の状況を親身に伺い、あらゆるご相談にお答え致します。