【アメリカ進出マニュアル】進出形態とその種類

日本で培った経験・技術を使い、海外への事業展開、アメリカへビジネス進出と考えると、多額の経費がかかるのでは?と躊躇される方も多いかと思います。そこで、今回は進出形態の種類についてご説明したいと思います。

*2022年2月時点での情報に基づくものであり、その後の法律改正等によって変わる場合があります。最新の情報については、別途お問い合わせの上、ご確認ください。

進出形態の概要

このブログでは、主な海外の進出形態として支店、法人、EC(Eコマース)の3種類についてご説明させていただきますが、細かく分けると下記のような進出形態があります。アメリカに限らず、海外へ進出する際は、進出の目的、ビジネスプラン(プロセス)、予算等を慎重に考慮した上で形態をご選択ください。

日本から海外取引を行う場合
・セールレップ
・ディストリビューター(販売店)
・国債売買契約
・委託契約(GEO など)
・ライセンス
・OEM
・Eコマースビジネス

リスクとコストを抑えながら、アメリカ進出の課題や問題点を分析し、土台作りを目的とする中小企業が選ぶ進出形態です。米国を拠点とする企業との契約関係を活用し、日本から直接的に米国ビジネスを行うことができます。

米国をベースに事業を行う場合
・駐在員事務所
・支店
・パートナーシップ
・会社設立
・合弁事業
・国際的事業買収

製造業やホスピタリティ産業(レストラン)など、米国を拠点に事業をせざるを得ない業種もあります。一般的に、初めて米国進出する企業は、リスクの低い駐在員事務所や支店、会社の設立(単独)を選ばれることが多いです。

進出形態の特徴

それでは、支店、法人、EC(Eコマース)の3種類についてご説明させていただきます。大きな違いとして、支店は日本本社が事業活動の主体であり、法人は現地毎にそれぞれ独立した事業活動が主となります。EC(Eコマース)に関しては、海外に拠点を持つ必要がないため、設立コストは低く抑えられるのが特徴です。

①支店の設立

支店は日本本社の米国活動拠点という位置付けとなり、アメリカでの売り上げが日本と合算されます。つまり、アメリカでの決算は、日本の決算との損益通算が可能です。

日本本社の社員のアメリカ駐在が可能なため、新たに人材を雇う手間が省けます。その一方でアメリカ支店において訴訟が起きた場合、日本の本社が訴訟対象となります。訴訟対応の負担や巨額賠償のリスクを日本本社が背負う形になるため、事業が軌道に乗った際には法人へと組織変更することが重要です。どちらにしても、海外事業を任せることができる、有能な人材がいるかどうかがポイントになります。

*駐在員用のビザ等についての相談は、個々により事情が異なるため、別途お問い合わせください。

②法人の設立

法人は本社100%子会社という位置付けとなり、独立した法人格を有する存在です。本社とは別に決算を行うため、アメリカ法人の経営実績は、日本本社の利益で損益通算することはできません。メリットとして、訴訟問題のリスクを切り離すことができるため、アメリカ法人で問題が起こっても、親会社の責任は有限となります。

また、本社からの出向だけでなく、アメリカでの人材雇用が可能になります。採用プロセスの手間はありますが、現地の優れた人材の確保・活用は、海外事業の拡大させるには不可欠かと思います。

法人設立には、独自資本と合弁の2種類がありますが、信頼できるパートナーがいない限り、独自資本が一般的です。ただし、話し合いがスムーズに進むのであれば、合弁でもビジネスの土台は固められるでしょう。

独自資本
本社の技術や手法をそのままアメリカに適応する方法です。自社の裁量が大きいため、柔軟にビジネスを変更できます。

合弁
他企業と一緒に起業する形態です。リスクを半減できるだけでなく、お互いのスキルや知識を共有することで、より強固な力をつけることができます。ただし、双方の合意が必要な場面では、話し合いに時間がかかる点が弱みです。

③EC(Eコマース)

EC(Eコマース)は支店や法人と違い、海外で拠点を持つ必要はありません。オンラインでの販売ですので、海外に直接出店するリスクやコストが軽減できます。Amazon(アマゾン)やebayなどのEコマースプラットフォームを利用することで、オンラインショップを構築する手間も削減でき、オンライン決済や商品の発送等の悩みも解決できます。

その代わり、海外でのマーケティング、営業活動には限りがあります。海外で商品を保管するためのコンテナが必要な場合は、法人または支店の設立が必要になります。

アメリカ進出についての一般知識

海外でビジネスを行う際は、その国の商習慣を尊重する必要があります。世界の移民国家であるアメリカは、今後も安定した人口増加とGDPの成長が見込まれており、マーケットとして魅力があります。またビジネスに関する法務が整えられていることから、進出のハードルは決して高くありません。下記実務的な点について、一部記載させていただきます。

○外資に関する規制

米国は、外国からの対内直接投資(FDI)を歓迎するとともに、外国投資家を公正かつ同等に扱います。ただ国家安全保障上で危険とされる業種はFIRRMA(外国投資リスク審査現代化法)やECRA(米国輸出管理改革法)に基づいて出資の制限や禁止が判断されることがあります。

以下9分野が規制対象の業界です:
航空|通信|海運|発電|銀行|保険|不動産|地下資源

ただし規制業務以外であれば資本金を100%所有することができます。

参考:ジェトロー外資に関する規制

○法人設立方法

アメリカでの設立は、一般的に基本定款を州政府に提出し、登録に関する税や費用を払えば、設立完了です。基本定款には会社の目的や事業目的など、企業に関する情報を記載します。

また18才以上であれば誰でも法人化できます。また国内に居住しているかどうかも、一般的に問われません。

最低資本金は必要ないところが増えており、最大でも1,000ドルとなっています。自治体の事務許可をとる必要のある業務は事前確認が必要です。州によっては投資に対する優遇措置をそれぞれ用意しています。

参考:ジェトロー外国企業の会社設立手続き・必要書類

○税制について

進出形態によってかかる税金が変わってきます。

支店の場合、日本で税金がかかるため、アメリカと日本の二重課税となります。この問題を排除する目的で、日本ではある程度の外国税額を控除できます。アメリカ法人に関しては、現地のアメリカ企業と同じように課税されます。

アメリカの税金(納税)は、アメリカの国全体に課せられる連邦法人税と、各州政府が徴収している州法人税(法人所得税、またはフランチャイズ税)の2種類があります。アメリカ全体では、財務省の内国歳入庁が連邦法人税として21%を課しています(2021年2月時点)。それとは別に、州毎に課税される州法人税があります。州法人税がないところもありますが、代わりに売上税や固定資産税が高いこともあるので、州ごとの法律を確認することが必要です。

EC(Eコマース)に関しては、今後デジタル・サービス税が導入される予定になっています(2022年3月時点)。日本は対象国に入っていませんが、今後商品やサービスを輸出する際は、念のためご確認ください。

参考: ジェトロー税制

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ミシガン州は他の州と比べても、競争力のある進出先の一つです。

税金の部分では、他の州に比べて低く抑えられています。動産(建物内の機会や設備)と在庫は税金免除になります。不動産税は50%控除、個人動産税は100%控除です。州税も6% と他の州に比べて低くなっています。

また投資額や従業員の数が大きければ、法人税を含む税金の軽減、低金利での資金提供、そして返金不要な助成金などを利用できます。法人設立時の雇用も、比較的容易です。ミシガン大学やミシガン州立大学など技術学部系の優秀な人材が多く住居しています。

そういった背景もあり、TOYOTAなど日本を代表する自動車関連の企業だけでなく、中小企業の進出先として検討されています。2010年以降の海外直接投資額も120億ドル以上、ベンチャー支援数も140社を超えています。

アメリカ進出をご検討中の方は、こちらまで、ぜひお問い合わせください。宜しくお願い致します。

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