【海外展開の可能性を検証中の中小企業様必見】海外進出(アメリカ進出)のプロセス
海外進出の際に最も大切なことの一つ、それは事前準備です。日本で築いたビジネスをより安定・成長させるため、遠く離れた海外で会社を設立し、人員を雇い、販路を開拓し、商品を卸す、またはサービスを提供するというプロセスは、ある程度の資金と時間を要します。ミシガン州経済開発公社では各社の状況・ご希望を伺い、各社にあった州からのサポートをご提案させていただいていますが、まずこの記事をご覧いただき、海外進出プロセスの全体像を掴んでいただければ幸いです。
海外進出までの流れ
海外進出のプロセスでは、海外進出の目的・ゴールに向かってその都度軌道修正を加えながら進めることが大切です。漠然と楽観的に海外進出をした場合、トラブルが起きたときに対処方法の検索に時間を取られ、決断の遅れを招き、その結果損失が膨らむ可能性が考えられます。
事前にできる準備として、まず以下の5ステップを踏むことで、トラブルを回避しリスクを最小限に抑えるだけでなく、実際にトラブルがあったときの対処もしやすくなります。ぜひご自身の海外進出にお役立てください。
【ステップ1】 海外進出の目的を明確にする
まず、海外進出する目的は何なのか?、何をもって達成とするのか?を、自身に問い、役員・関係者の方とよく話し合うことが大切です。その前提として、海外進出にはある程度の資金と時間を費やすため、日本国内での安定した事業経営は不可欠です。そのバックボーンがあることで、海外でのチャレンジが可能となります。長期ビジョンをもって取り組む海外進出ですので、途中で挫折しないためにも、慎重に計画し、一歩一歩着実に実行していきましょう。
目的やゴールを明確にすることは、次に何をしなければならないか、その取るべき行動も明らかになっていきます。そのためのチームを編成したり、チーム全体でビジョンを共有し、ベクトルを揃えることにも役立ちます。経営者の意思がチーム全体の意思になるのです。
以下の質問に答えてみると、海外進出の目的が明確になってきます。
進出の目的を明確にする質問例:
• 海外進出で何を得たいのか?
• 日本国内で達成するのは、なぜ難しいと感じたのか?
• 海外進出での達成時期や売り上げ目標は明確に言えるか?
• 海外進出で起こりえる障害は何か?
*SWOT分析等も、客観的に会社について考える良い方法です。
上記の質問に答えられると、以下のような考えが現れるかもしれません。
海外進出の目的例:
• 国内市場が飽和しているため、海外へ進出したい。ただし、海外でも自社商品・サービスが受け入れられるかは分からない。マーケティングにかける費用が膨大になるなら、自社商品・サービスを少し変えて国内で販売したほうがリスクは低いかもしれない。
• 海外企業からオファーを受けた。相手企業と折り合いがつけば、市場の拡大に繋がるチャンス。ただし、海外での販売を維持するコストはいくらぐらいだろうか。現状の資金でまかなえ、利益率が高くなるなら、海外進出したほうがよさそうだ。
• 人件費を抑えたい。海外に行けば、日本よりも多様性のある人材を安く手に入れることができ、グローバルな企業に近づける。ただし日本人のように勤勉に働いてくれないかもしれない。質が少し下がることを考慮に入れよう。
関連記事:アメリカ進出のメリット・デメリット
【ステップ2】 進出計画案の作成
目的を明確にしたら、次は進出をした際のプロセスを辿りながら、準備するものを考えます。実際に起業したときにかかるコストやリスク、目標を達成するための期間などが分かりやすくなるからです。
以下のことを念頭に入れて進出計画案を作成すると、海外進出が本当に必要なのか、必要であれば何をする必要があるのかが分かるようになります。
進出計画案に含めたいこと(例):
①海外で事業を行うことについての注意点
• 進出形態*
• 進出したい国・州
• 事業に関する現地の法律
• 文化・言語の違い
• 政治・経済の安定性
②海外で事業を行う前の注意点
• 人材の確保、人件費
• 法人税やその他の税制
• 土地探し
• 商品の流通ルート
• 相手企業との契約、またはパートナー探し(合弁会社の場合)
③事業開始後の注意点
• 事業形態の法的責任の範囲
• 事業の成長戦略
• 経済成長率や見通し
• 輸入規制(最大金額、最大重量)
【ステップ3】 現地調査
次にステップ2で調べたことについて、実際に調査を開始します。ミシガン州経済開発公社、または最寄りの海外進出サポートサービス*を利用することもお勧めです。秘訣としては、ご自分だけでなく衆知を集め、周りを頼りにしながらも、得た情報は決して鵜呑みにしないことです。実際に現地を訪れ、ご自身の目で確認することも重要です。計画を実行に移せるか現地でシュミレーションし、コンサルタントの話に相違はないか、再検証することが可能です。想像と違えば、事前に計画の軌道修正がこの段階でできるため、リスクを減らすことができます。
以下は現地で調べておきたい点です。
現地調査で行いたいこと:
• その国・分野に詳しい人から直接話を聞く
• 工場設立予定地や事業所立地の確認
• 競合他社の調査
• 取引先予定の企業を訪問
• 海外展示会に参加
インターネットである程度のことが調べられる時代に、わざわざ直接現地へ行く必要性を感じないかもしれません。ただし、インターネットでは不透明・不確かな情報、発信者の思い込みがあることも事実です。特に文化、街や人々の雰囲気、物価、インフラ整備の状況といった点は、実際に現場で体験することで理解できる部分が多くあります。
例えば、部品を製造する場合、日本では3日で終わる想定の作業が、現地のビジネス慣習や国民性により思い通りには進まず、1週間かかることもあるはずです。検品や出荷、納品まで1週間で1000万円分の売り上げだった予定の商品が、2-3週間かかってしまう。1ヶ月で約4,000万円になるところが、約1,000万円と低迷してしまう可能性も考えられます。現地調査に行き、そのような想定をしておくと、そのロスやリスクを防げる可能性があると考えると、現地へ行くことはやはり大切です。
関連記事:アメリカ進出の準備
【ステップ4】 最終的な意思決定
現地調査を終えた後、海外進出する上でのメリット・デメリットを今一度考え、プランを練り直します。修正する必要のある部分を浮き彫りにし、ブラッシュアップしていくことで海外進出を確実なものへと変化させていきましょう。
最終的な意思決定でしたいこと:
• 修正が必要な点を検証
• どのように変更するかを話し合う
• 変更した際に、計画に変更があるのかを見極める
必要であれば、ステップ2の「進出計画案の作成」に戻ります。最終的な意思決定をするときも、海外進出に捉われず、企業にとって一番良い選択は何かを考えましょう。海外進出は手段であり、目的は別にあります。
【ステップ5】 進出の決定
進出計画案に自信が持てるようになったら、海外進出を決断するときです。実際に企業を設立するために必要な準備を始めましょう。
会社設立に必要なもの:
• 事業登記(進出形態の決定)
• ビザの申請
• 人員の派遣
*社名の決定、定款の作成と登録、ビザの種類の確認、雇用主番号 (EIN) の取得、ビジネスライセンスの取得など細かく分けると、行うことが多々あるため、ご不明な点は専門家にご相談ください。
*ステップ5以降の会社設立のプロセスついては、こちらから。
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