【海外展開の可能性を検証中の中小企業様必見】アメリカで会社を設立するプロセス

アメリカで会社を設立するには、11のステップを踏む必要があります。11もあると、会社を設立する気が進まなくなるかもしれません。ただし各ステップはそれほど複雑なものではないため、この記事を読めば設立するための流れを把握できます。ぜひこの記事で、アメリカにおける会社設立に向けて準備していきましょう。

会社設立プロセス

【ステップ1】 進出形態を選択する

アメリカで会社を設立したい場合、駐在員事務所または現地法人、支店の大きく分けて3つから選択します。そのなかでも現地法人は制限が少なく、日本企業が設立しやすい形態です。現地法人には6つの進出形態がありますが、特に理由がなければ、日本の株式会社に当たる、C-Corporation、小企業であればLLCを選択することを推奨します。

C-Corporation(株式会社)

日本の株式会社に当たる形態です。株主、取り締まり、役員で構成されています。また株を自由に譲渡することも可能です。州ごとによって会社設立の法律や必要な書類の作り方も違います。

Partnership(パートナーシップ)

2人以上、または合弁会社を設立するときに用いる形態です。法人税が課税されない形態で、出資者のパートナーは無限責任を負うことになります。ただし、個人所得で損失をカバーすることも可能です。

LLP(Limited Liability Partnership、有限責任共同事業体)

基本的にパートナーシップと似ていますが、全てのパートナーが有限責任を負います。また法律事務所、会計事務所、なんらかの専門的コンサルティング事務所のみ、設立できる形態です。

LLC(Limited Liability Company、有限責任会社)

LLPと似ていますが、業種は問われないのに加え、株式委譲が簡単にできます。小規模向けで、簡単に設立することが可能です。LLCには「パス・スルー課税」が適用され、構成員にのみ課税されます。法人税と個人税の二重課税を回避できるというわけです。

S Corporation(小規模法人)

日本の株式会社に当たる形態ですが、非移住者は設立できないうえ、発行株数や株主数に上限あり、と株主の上限や制約も多いので、進出には向いていない形態になります。株主もアメリカ移住のアメリカ人である必要があります。アメリカで個人経営を考えいる人にはオススメです。

Sole Proprietorship(個人事業主)

日本の個人事業主に当たります。手続きが簡単で、維持費も抑えられる形態です。簡単な一方で、事業の債務は事業主が無限責任で負う必要があります。

Global Employment Outsourcing(GEO)

GEOは、アメリカのGEOサービス提供会社が現地責任者を雇用し、日本企業の事業活動を担ってくれる形態です。この方法は現地法人や支店、駐在員事務所の手続きの大変さや規制の多さをカバーしてくれていいます。最速で1週間ほどでビジネスを開始できるうえ、低コストで営業活動を始められるため、柔軟な戦略を練れる方法として話題です。自分で雇用する人を選べる点もひとつの魅力になります。

*会社設立以外にも、日本に主軸を置きながら、海外でビジネスを行う方法もあります。
参考:アメリカ進出 進出形態の種類

【ステップ2】 会社設立の地域を選択

アメリカは合衆国の名の通り50州から成り、各州異なる特色があります。得意としている業界や税率も違うため、ご自身の業種にとってビジネスが有利になる州はどこか?、得意先となりそうなクライアントの本社・支社はあるか?等も選択肢の一つとしてください。例えば、ミシガン州だと自動車関連を中心に製造業の研究・開発が盛んです。倉庫や工場など、比較的大きな投資をする企業には税金の軽減や返金不要の助成金を提供したりもします。

また会社設立は恩恵を受けられる場所にし、営業拠点を別の州にすることも可能です。ただし、この場合2ヵ所で税務申告が必要になるため、ひとつの州で設立するのが基本的に管理しやすくなります。

【ステップ3】 定款の作成と登録

定款は「会社のルールブック」のようなものです。なかにはオンラインで定款の作成・登録できる州もあるため、事前に州へご確認ください。

定款には以下の情報を含める必要があります:
• 会社名
• 事業内容
• 資本金
• 役員名
• 会社住所 など

特に注意が必要なのは会社名です。既に類似する企業名があれば、社名を変更する必要があります。既に類似する企業名があるかは、直接州に問い合わせてください。

また州から証明書を受領するのに2-7日かかるため、早めに定款の登録を済ませることを推奨します。

【ステップ4】 第一回取締役会の開催

定款終了後に開催することが可能です。必要事項を話し合うのですが、書面決議だけで終えられる時もあります。

第一回取締役会では、以下の内容を報告し、協議します:
• 定款登録の承認を報告
• 会社規則の採択
• 会計士の専任
• 会計年度の選択
• 銀行口座解説の権限がある役員の決定 など

【ステップ5】 雇用主番号(EIN=Employer Identification Number)の取得

EIN(Employer Identification Number)は、銀行口座の開設や官庁への手続きで必要です。取得するには「SS-4」の申請をIRS(Internal Revenue Service)に提出してください。アメリカ内に住所を持っていれば、オンラインで申請することも可能です。

記載する内容:
• 会社名
• 住所
• 役員の名前
• 住所
• ビジネスの概要

ただしこの申請には、会社責任者の個人Tax ID ナンバー(SSN=Social Security number)が必要になります。まだビザの取得ができていない場合、個人納税者番号(ITIN=Individual Taxpayer Identification Number)が必要です。ITINの申請・取得には「W-7」というフォームを提出し、数週間待つ必要があるため、会社設立後すぐに申請することを推奨します。雇用主番号の取得そのものも6日から10日ほどかかるため、申請するタイミングには注意が必要です。

【ステップ6】 ビジネスライセンスの取得

会社設立とは別に、州ごとに違うビジネスライセンスが必要になります。各州によって州税や集中している業界が違うことから、各州のルールも違うからです。各州の経済開発公社や専門コンサルタントといった専門家に伺うことを推奨します。

【ステップ7】 Statement of Informationの申請

日本でいう「年次報告申請」です。州によって違いますが、年に一度、SOSから申請用紙をもらい、必要な情報を記載します。ビジネスライセンス取得後の30-90日後に申請する必要があるのですが、申請には制限期間があります。また、Statement of Informationは会社を設立した月の月末に、毎年申請する義務があります。

*カリフォルニア州の例:Statements of Information Filing Tips

【ステップ8】 州雇用者番号(State Tax ID)の取得

雇用者は従業員の給与から「失業保険」と「障害保険の掛け金」を源泉徴収し、州の雇用開発局(EDD)に払うことが必須です。その際に州雇用者番号が必要になるため、従業員を雇ったら州雇用者番号は必要になります。オンライン、郵送、もしくはFaxを使って、1-3日ほどで申請することが可能です。

【ステップ9】 銀行口座を開設

会社の州雇用者番号と役員の誰かが記載されている議事録を持てば、役員本人が銀行口座を開設することが可能です。会社の情報が州のウェブサイトに登録されている必要があるため、設立から1週間ほど待つ必要もあります。

【ステップ10】 株式の発行

基本的に証券の売買は禁止ですが、親会社が子会社の株式を購入する場合は例外です。

株式を発行する方法は以下の通りです:
• 第一回取締役会にて、株式の発行数や金額、売却する相手の名前などを決定
• 株式引受契約書に情報を記載
• 州のDepartment of Corporations(法人部門)にて申請
• 会社の銀行口座に出資金を入金
• 法律事務所から株式を発行
• 株主の名前と会社役員2人のサインを記入

【ステップ11】 BE-13またはBE-13 書類提出免除の提出

BE-13」は、外国企業がアメリカに入ってきたときの動向を調査するための書類です。株式の10%以上を日本人、または日本法人が所有している場合、米国の会社から毎年「BE-13」を申請する必要があります。

アメリカの会社の総資産価値が300万ドル以下で、所有している土地が200エーカー以下であれば、「BE-13 書類提出免除」を提出することが必須です。

日本貿易振興機構 ジェトロが、アメリカで事業を始める際に必要な法制度についてまとめたページがありました。会社設立時の事業形態の選び方や注意点、ビザ・労務関連の手続き、税制(法人・個人)、オフィスや店舗の賃貸契約など、多岐に渡ります。連邦レベルと州レベルの法制度が異なるため、実際には専門家に相談ことをお勧めしますが、アメリカにおける事業進出、会社運営に関して予備知識を入れておくことは大切です。

アメリカ進出ならミシガン州経済開発公社にお任せください

会社設立についてまだ不安が残る…という方は、ぜひミシガン経済開発公社にお問い合わせください。会社設立に精通した専門家のご紹介が可能です。アメリカで会社を設立するには多くのステップを踏む必要がある上、記入事項を理解し、記載事項には責任を問われます。だからこそ、頼りになる専門家を身近に置くことは、心強いだけではなく、リスクを回避することにも繋がります。

海外でのビジネスに興味をお持ちの企業様から、アメリカへの進出を検討されている企業様まで、ぜひミシガン経済開発公社にお問い合わせください。まずは無料相談をご利用いただき、不安な点をご解消ください。

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