【2022年アメリカ進出を考える中小企業必見】海外進出国トップ5ー進出国とその傾向ー

コロナによる自粛が続いた2020年、及び2021年。ビジネスに大変な影響を受けた方も多いかと思います。そんなコロナもようやく収束しつつある2022年は、今後10年−20年を見据え、海外進出を検討する良い機会です。競合の多くが躊躇する中、各国の経済が回復傾向にある2022年、どの国がどのような産業に強く、どんな魅力があるのかを知ることは、海外進出の第一歩ではないでしょうか。

2021年外務省による海外進出日系企業拠点数調査では、中国、アメリカ、タイ、インド、ベトナムが海外進出国トップ5に入っています。各国が進出先として選ばれている理由について、深掘りしていきましょう。

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ

海外進出国ランキング(2021年)

外務省の海外進出日系企業拠点数調査2021によると日系企業が進出している場所は以下の通りです。

海外進出地域(単位:拠点):
1. アジア – 53,431
2. 北米 – 9,827
3. 欧州 – 8,300
4. 中南米 – 2,803
5. 大洋州 – 1,337
6. アフリカ – 927
7. 中東 – 926
合計=77,551

海外進出国トップ10(単位:拠点):
1. 中国 – 31,047
2. アメリカ – 8,874
3. タイ – 5,856
4. インド – 4,790
5. ベトナム – 2,306
6. インドネシア – 2,046
7. ドイツ – 1,934
8. フィリピン – 1,377
9. 台湾 – 1,310
10. メキシコ – 1,272

世界に進出している日系企業の拠点総数は77,551拠点、その内アジアが53,431拠点と各エリアのなかで一番多くなっています。海外進出国の上位10位中、アジアは7ヶ国が入っています。アジアへの進出が多い理由として、日本からの距離が近く、タイムゾーンのギャップは少なく、生産コストや人件費も抑えられることから選択する企業が多いようです。海外進出企業の業種で、一番多いのが製造業で22,004拠点、次に多いのが卸売業・小売業で9,959拠点となっています。海外での生産拠点の拡張を目的とした海外進出もあれば、日本で提供しているサービス・商品販路の拡大を目的とした海外進出もあります。日本の人口が1.24億人(2022年7月現在)、GDPが5.103兆USD(2021年)なのに対し、中国やアメリカはその数を遥かに超えている魅力的なマーケットとなっているためです。

世界と比べれば、日本はある程度経済的に成功を収めており、日本国内でのみビジネスを行っている企業も多いかと思います。その築き上げた事業を、今後も安定・成長させるために、海外進出は有力な一つの選択肢です。日本をベースに世界で売る時代です。実際に、新天地での販路拡大(増益効果)、拠点数の拡張(生産数の拡大)を目指して海外進出を目指す企業様からご相談をいただいています。海外進出先の業務形態としては、日本にある本企業から100%出資の現地法人(16,143拠点)や支店(10,954拠点)などが多くなっています。

主な海外進出の理由:
– 現地での販路拡大
– コストの低減
– 既存の取引先の維持
– 現地の生の情報の収集
– 現地動向の変化に対する対応スピードの向上
– 現地での認知度向上
– 国内での販路拡大
– 現地における優秀な人材の確保
– アフターサービスやメンテナンスの強化
– 為替リスクの回避・低減
– 製商品の品質向上など

2021年世界GDP(国内総生産)ランキングトップ10

コロナで世界中のビジネスが影響を受けましたが、それでもアメリカの経済的な強さは健在です。宇宙、A.I.、ロボット、医療、金融など、進歩・発展の絶えない経済活動の中で、常に新たな価値を創出し、世界で使われる商品・サービスを提供しています。建国以来、世界中から移民を受け入れ発展してきた歴史もあり、今後も人口は緩やかに増加傾向です。GDPに関しては、2030年には中国がアメリカを抜いてトップになると言われており、2050年には、アメリカとインドが2位と3位を争っているという予測がなされていますが、言い換えれば、アメリカ経済は長期的に安定しているため、有力な海外進出国の一つとして検討されています。

2021年世界の人口ランキングトップ10

人口の推移は、今後の経済成長のバロメーターとなります。トップ10を見ると、どの国も人口増加傾向にあるのとは対照的に、11位の日本は123,944,129人で11位。減少傾向にあり、今後トップ10に入ることはないと予測されています。総務省の発表によれば、2050年には9,515万人、2100年には5,000万人前後となると推測されています。

アメリカ・ミシガン州経済開発公社 アメリカ進出 グラフ

©出典:「国土の長期展望」中間とりまとめ 概要(平成23年2月21日国土審議会政策部会長期展望委員会)
総務省:我が国における総人口の長期的推移

1)中国ー人口・GDPの規模が共に世界トップクラス

基本情報
人口:14.26億人(2022年7月現在)
GDP:17.73兆USD(2021年)

主な海外進出先のとしての理由
・世界第二位の経済大国であること、今後も継続した成長への期待
・世界最大の小売市場、オンライン市場の形成率の高さ
・新規販路の開拓など

中国へ進出する魅力は、やはり14億人という人口規模の大きさ、成長意欲と消費欲求の高さ、そして世界2位のGDPを誇っていることです。人口とGDPの規模が大きいため、ビジネスチャンスもそれだけ多く存在します。進出拠点としては、上海経済圏を中心に、大規模港湾を有する広州市、ハイテク産業が集積する深セン市、多数の自動車産業が集積する武漢市等、中国東部に集中しています。

業種別では、日本に比べると安い労働力や材料を入手できるメリットを生かし、製造業(4,732拠点)が最も多く、次には卸売業・小売業(1,438拠点)となっています。コストを抑えて製造することを目的に生産拠点として中国で事業を行う企業もあれば、中国市場で商品・サービスの展開を目的とする企業もあります。

懸念材料として、経済発展の目覚ましさと同時に、人件費は上昇しています。また、日中間の政治的関係が、ビジネスに影響を及ぼす可能性を常に抱えています。対外関係だけでなく、先進国ではある程度規制されるコピー商品の問題、中国北西部の新疆地区に住むウイグル族に対する人権問題、国内政治を見ても、コロナゼロポリシーによるテスラ上海工場の停止、テンセントを中心とするゲーム業界に対しプレイ時間の規制、中国の配車大手であるDiDi(滴滴)への個人情報の収集と使用に関する違法行為を理由とする各アプリストアからの撤去、ビットコイン(BTC)マイニングの禁止、アリババの創業者ジャック・マー(Jack Ma)氏に対する「指導」等、政府の決定事項には、どのような事情であっても従うしかありません。

2)アメリカー製造・販売共に世界経済の中心地

基本情報
人口:3.383億人(2022年7月現在)
GDP:23.00兆USD(2021年)

主な海外進出先のとしての理由
・圧倒的な購買力を持つアメリカ市場での製造・販売
・今世紀を見据えた経済の安定・成長
・アメリカ進出を足がかりに、知名度の向上と世界のマーケットへ進出など

アメリカの魅力のひとつは、中国・インドには劣るものの世界3位の人口規模であり、GDPが世界トップであることです。加えて、政治的関係に関しても、摩擦は中国と比べれば極端に低く、政治やインフラの面でも安定しているのはメリットと言えます。日本だけでなく、多くの海外企業がアメリカに拠点を設けており、まさに世界中の企業がアメリカ市場での成功を目指しています。

日本を代表する製造業、トヨタやホンダといった国内大手自動車メーカーの進出先としても有名です。最近では、日本最大の売れるフリマサービスで有名なメルカリがアメリカ市場で受け入れられている印象があります。業種は製造業が3,568拠点と一番多く、卸売業・小売業が1,524拠点と次に多いです。ただしイリノイ州とミシガン州に製造業が特に集まっており、ジョージア州が卸売業・小売業が集まっているなど、州によって強い業種が違うのも特徴になります。企業形態は、現地で支店として開設する企業(4,361拠点)が多く、次に現地法人として開設する企業(2,633拠点)が多いです。

pwcの2050年予測によれば、人口規模から中国・インドを中心にE7(中国、インド、ブラジル、トルコ、ロシア、メキシコ、インドネシア)が急速に経済成長していき、経済力は現在のようなG7の集中ではなく、E7を含む各国へ分散化されていきます。それは、G7(アメリカ、カナダ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、日本)が低迷するということではなく、G7も緩やかな成長を続けます。世界的に経済力が均衡し格差が是正されることは、前向きに受け止められる情報です。その際に移民政策を取るアメリカは、長期的に見て安定感があります。22世紀、経済力が均衡する世界で、どのように国を比べるのかと考えると、世界で需要があるイノベーションを起こせるかどうか。上記でも触れましたが、移民政策を取るアメリカは起業家精神のある人材が多いため期待感があります。また、その文化やカルチャー、エンターテインメント等世界に与える影響力、その点でも、アメリカの存在感は今後も続いていくものと予想されます。

3)タイーASEAN中トップの日本企業進出国

基本情報
人口:7,169万人(2022年7月現在)
GDP:506.0億USD(2021年)

主な海外進出先のとしての理由
・タイ政府が設立したBOI(The Board of Investment of Thailand)による、海外からの投資振興の促進
・東南アジア諸国の中心に位置し、輸出拠点としての利便性
・親日国で、現地での労働力が確保しやすい
・産業集積が進み、現地で材料や部品の調達がしやすい

タイはASEAN(東南アジア諸国連合)のなかで、もっとも日本企業の進出が多い国で、日本企業や日本人駐在員に優しい環境が整っています。タイは「世界の工場」とも呼ばれるぐらい、自動車や電気・電子産業といった業界の製造数が高いです。人件費は安く、隣接国も多く、アジアのハブ(HUB)としても機能しています。業種としては、製造業が2,344拠点と一番多く、次に卸売業・小売業が1,486拠点と多いです。

また日本人が多いことから、日本食レストランやスーパー、医療施設など、日本人駐在員を対象としてお店も幅広くあります。そのため、日本人駐在員が過ごしやすい国とも言えるでしょう。

4)インドー今後注目される世界人口2位の大国

基本情報
人口:14.17億人(2022年7月現在)
GDP:3,173億USD(2021年)

主な海外進出先のとしての理由
・民主主義国家のため、基本的価値観が日本と近く、世界有数の親日国
・外資規制緩和の傾向
・農業、工業、鉱業、IT産業と多種多様で、インフラ整備が進行中、経済開発区の優遇有り
・アフターサービスや技術サポートの世界的なアウトソーシングの重要なバックオフィス
・若年労働者が豊富、ソフトウェアや金融サービスにおいて、高度な熟練労働者

インドの世界での存在感は増しているものの、未だ開発途上国のカテゴリーであるうえ、中国に迫る人口で、今後の成長が大いに期待されている国です。人口については、近い将来中国を上回り、2060年頃まで増加の傾向です。インドは多言語国家で、公用語は「ヒンディー語」ですが、世界有数の英語が話せるIT大国としても知られており、日本企業の進出先としても年々市場が拡大しています。アメリカでは、名だたるグローバル企業のCEOを、インド出身者が占めていることからわかるように、優秀な人材が多いことが伺えます。

マイクロソフト – Satya Nadella氏
グーグル – Sundar Pichai氏
IBM – Arvind Krishna氏
アドビ – Shantanu Narayen氏
マスターカード – Ajaypal Singh Banga氏
ペプシ – Indra Nooyi氏
ツイッター – Parag Agrawal氏

インドでは、業務形態が合弁企業による支店など(2,148拠点)が一番多く、現地法人としての支店等(1,174拠点)も多いことが特徴です。人件費が安いため、業種も製造業(1,646拠点)が多く、中でも自動車メーカーのスズキが80年代から進出し、インドでシェアを獲得しているのは有名な話です。その他、卸売業、情報通信業、運輸業・郵便業等の拠点がありますが、中でも金融業・保険業(1,475拠点)の拠点が多くなっています。今後インドの成長に並行し、金融・保険の需要も増加するものと思われます。

5)ベトナムーASEAN中、最も注目を浴びている国

基本情報
人口:9,819万人(2022年7月現在)
GDP:362.6億USD(2021年)

主な海外進出先のとしての理由
・人口が9,000万人に達し、今後も増加傾向(年間約100万人)で、消費市場としての成長予測
・平均年齢30歳前後と若く、人件費が安い(生産コスト抑制)
・資源が豊富で物価が安い(生産コスト抑制)
・ベトナムと日本は、ベトナムの南北統一以来、友好関係が続く

ベトナムもインド同様、開発途上国として成長が期待されている国になります。人件費が低いうえ、まじめな国民性で業務に従事してくれるため、人材の確保に恩恵を受ける企業が多いです。また他国との違いとして、例えば手先が器用な人も多く、繊維産業が主力となっていることや、農産資源が豊富な点はユニークです。地理的に縦に長く海に面した国土は貿易にも適し、中国に繋がっていることで、各国からの材料調達や商談などがしやすいのも魅力のひとつと言えます。

業務形態は現地法人が1,286拠点と一番多く、業種は製造業が1,101拠点と圧倒的に多いです。人件費の高騰、離職率の高さや法律・税整備等の複雑さをデメリットにあげる日本企業の声が聞かれます。

その他の参考資料

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