【アメリカ進出は健康管理から】アメリカの食文化・食生活・トレンド
2023年5月初旬、WTO(世界保健機関)は、新型コロナウイルス感染症による世界的な緊急事態の終結を宣言しました。多くの企業がリモートワークを余儀なくされ、不透明な経済見通しに、多くの雇用機会が減少しました。学校や大学も一時的に閉鎖されたものの、オンライン教育をサポートするサービスが広がりました。さらに、国際的な旅行制限や規制が導入され、ビジネストラベルにも制約が生じました。渡航前にPCR検査を受けたり、空港でワクチン接種の証明書を提出したり、また空港で数時間待機、またはホテルで数日隔離が義務付けられたりと、今振り返っても一生に一度の大変な状況だったと感じます。
CNN: WHO says Covid-19 is no longer a global health emergency
新型コロナウイルスの流行によって、急速に拡大したビジネスもあります。以下に、主な例を挙げます。
- オンライン配信およびエンターテイメント:
パンデミックの影響で人々は自宅に留まる必要があり、オンライン配信プラットフォーム(Netflix、Amazon Prime Video、Disney+など)や音楽ストリーミングサービス(Spotify、Apple Musicなど)の需要が増加しました。また、オンライン会議ツール(Zoom、Microsoft Teams)も急速に普及し、リモートワークやオンライン教育の実現に貢献しました。 - 配達サービスおよびオンラインショッピング(Eコマース):
飲食店や小売業者は、ロックダウンや外出制限のために店舗での販売が制約されました。この結果、フードデリバリーサービス(Uber Eats、DoorDashなど)やオンライン小売業者(Amazon、楽天など)が需要を伸ばしました。人々は食料品や必需品をオンラインで注文し、自宅への配達を受けることが一般的になりました。 - テレワークおよびリモートサービス:
パンデミックによって多くの企業がリモートワークを導入し、オフィスからの遠隔作業が増えました。それに伴い、テレワークツールやリモートサービスの需要が高まりました。これには、テレワーク用のソフトウェアやプラットフォーム、オンラインコラボレーションツール、ITサポートサービスなどが含まれます。 - 健康関連商品およびサービス:
健康と安全に関連する商品やサービスへの需要が増加しました。例えば、マスク、手指消毒剤、抗菌製品、健康診断キットなどの販売が急増しました。また、テレヘルスやオンライン健康相談サービスも普及し、リモートで医療や健康に関する相談が可能になりました。
2020年春から続いた長いトンネルもひと段落し、ビジネス会議、トレードショー、エンターテインメント関連のライブイベントもコロナ以前の状況に戻りつつあります。上記触れましたが、リモートワークの是非は、今も話題のトピックの一つです。企業によってその対応は分かれています。
利点:
・柔軟性(雇用の多様性)と効率性(通勤時間の排除)
・コスト(オフィススペースや関連する経費・通勤/ガゾリン費)削減
・地理的な制約の克服
・ワークライフバランス
・環境への影響の軽減
課題:
・コミュニケーションとチームワーク
・孤立感とモチベーション
・仕事とプライベートの境界
・技術的な課題(高速インターネットやセキュリティ)
・社交性と創造性の減少
労働者の働き方は、都心のオフィス不動産と飲食店に大きな影響を与えています。飲食店内で食事することは可能になってきましたが、リモートワークによって飲食店の客数が戻っていません。コロナ禍の習慣からか、今だにテイクアウトのピックアップ・配達の姿はよく見かけますが、チップもチャージされ割高となるため、気軽にオーダーできるものでもありません。アメリカ労働者の働き方の状況については、改めて別のブログで取り上げたいと思います。
アメリカ進出を考えている経営者様は、アメリカの食文化・食生活について、高カロリーで健康に良くなさそうと思われているかもしれません。事実、アメリカの肥満率は非常に高く、米国疾病管理予防センター(CDC)によると、アメリカの成人の肥満率は約42.4%であり、肥満または過体重の割合は約73.6%に上ります。さらに、子供や若者の肥満も深刻な問題であり、2歳から19歳までの子供の約19.3%が肥満または過体重と報告されています。
CBC: Adult Obesity Facts
肥満と直接関連するわけではありませんが、最近北米では糖尿病治療薬の「Ozempic®」がニュースになっています。需要に対して供給が追いついていません。
Discover the Ozempic® Tri-Zone
コロナ禍ではPelotonが流行りましたが、現状に関わらず多くアメリカ人が健康に関心があることも事実です。そこで今回は、アメリカの食文化・食生活・トレンドについてご紹介したいと思います。
アメリカの食文化
アメリカの食文化は多様で広範囲に及びます。アメリカは多国籍の人種から成り立つ国であり、さまざまな民族や文化が存在します。そのため、アメリカの食文化は異なる文化の影響を受け、多様性に富んでいます。イタリア料理、メキシコ料理、中華料理、日本料理など、世界各国の料理がアメリカで愛され、普及しています。
アメリカ人は大量かつ豪快な食事を好む傾向があります。ステーキ、バーガー、ピザ、フライドチキンなど、ボリュームのある料理が一般的です。また、オールユーキャンイートやフードチャレンジといった大食いイベントやコンテストも人気があります。マクドナルドを代表とするファストフードの発祥地としても知られ、多くの人々が手軽に食事を摂るために利用しています。
アメリカ発祥のファストフード店一例
- マクドナルド(McDonald’s):
マクドナルドは世界的に有名なファストフードチェーンで、1955年にカリフォルニア州のサンバーナーディーノで創業されました。ハンバーガーやチーズバーガー、フライドポテトなどのメニューが人気で、クォーターパウンダーやビッグマックなどの商品が代表的です。 - ケンタッキーフライドチキン(KFC):
ケンタッキーフライドチキンは、ケンタッキー州のカーネル・ハーランド・サンダースによって創業されたファストフードチェーンです。特に揚げたてのフライドチキンが有名で、秘伝の11種類のハーブとスパイスで味付けされたチキンが人気となりました。 - バーガーキング(Burger King):
バーガーキングは1954年にフロリダ州のマイアミで創業されたファストフードチェーンです。ホッパーバーガーやワッパーなどのハンバーガーが看板メニューで、独自のフレームグリル方式で肉を焼き上げることで特有の風味を提供しています。 - サブウェイ(Subway):
サブウェイは1965年にコネチカット州のブリッジポートで創業されたサンドイッチチェーンです。サブマリンサンドイッチが主力商品であり、顧客は好みの具材を選んで注文することができます。 - タコベル(Taco Bell):
タコベルは1962年にカリフォルニア州のダウニーで創業されたメキシコ料理のファストフードチェーンです。タコスやブリトー、クランチラップスなどが特徴で、メキシカンスタイルのフレーバーが人気を集めています。
アメリカがコーヒーの発祥とは思いませんが、アメリカのコーヒーカルチャーは世界へインパクトを与えています。北米に来た当初は、各ブロックに店舗があるコーヒーショップの多さに驚いたものです。特にスターバックスは世界的に有名で、人々がコーヒーを楽しむ場所として頻繁に利用されています。友人や同僚とのミーティングや勉強会、ビジネスの打ち合わせなど、コーヒーショップは人々が集まる場所となっています。アメリカの都市部では、専門的なコーヒーショップやマイクロロースタリーが増えており、高品質なスペシャリティコーヒーが楽しめます。こうした店舗では、豆の鮮度や抽出方法にこだわり、コーヒーの風味や個性を引き出すことに注力しています。また、ラテアートやコーヒーカップのデザインなど、コーヒーにアート的な要素を取り入れる文化も広がっています。
週末や休日にブランチ(朝食と昼食の中間の食事)を楽しむのも特徴の一つです。エッグベネディクト、フレンチトースト、パンケーキなどのブランチメニューが人気です。
アメリカのBBQ(バーベキュー)文化は非常に豊かで多様性に富んでいます。各州や地域によって、異なるスタイルや肉の選好、調理法が存在し、BBQは家族や友人との交流や楽しみの一部として重要な役割を果たしており、人々の絆を深める特別な時間となっています。
- テキサススタイル: テキサス州はアメリカにおけるBBQの聖地として知られています。テキサススタイルのBBQは、低温でゆっくりと肉を燻製(スモーク)することが特徴です。ビーフブリスケットやポークリブが人気のメニューであり、タンドリーライクな独特の風味と柔らかい食感が特徴です。ソースは一般的にシンプルで、肉の旨みを引き立てる役割を果たします。
- カロライナスタイル: カロライナ州では、豚肉を主に使用したBBQが盛んです。ビニガーソースという酸味のあるソースが特徴で、豚の肩やバターミルクでマリネされたノースカロライナスタイルと、トマトベースのソースが使われるサウスカロライナスタイルがあります。肉はローストやピットバーベキューとして調理され、フレーバフルでジューシーな仕上がりとなります。
- ケンタッキースタイル: ケンタッキー州では、主に豚肉や鶏肉を使用したBBQが人気です。鶏肉はフライドチキンとして調理され、独自の香辛料や衣で味付けされます。豚肉はローストやリブとして調理され、トマトベースのソースやビネガーソースで味付けされます。
アメリカのオフィスワーカーは、様々な方法でランチを取っています。オフィス近くのレストランやカフェ、デリバリーサービス、フードトラック、オフィス内のカフェや食堂、パンやサンドイッチを自分で持参する人や、ランチタイムに外出せずにデスクで食事を摂る人もいます。アメリカのオフィスワーカーは、ランチタイムを利用してリラックスしたり、同僚やクライアントとの社交の場としても活用します。また、一部の企業ではフリーアドレススペースや共有スペースを提供し、従業員が自由に食事を取ることができる環境を整えています。
最近では、健康志向やダイエットへの関心の高まりから、オフィス内での健康的な食事の提供やフィットネス施設の設置など、より健康的なランチの選択肢を提供する企業も増えています。また、一部のオフィスではランチの時間を柔軟にする取り組みや、リモートワーカーに対してオンラインでのランチ会議やデリバリーサービスの提供なども行われています。
アメリカの食生活
アメリカの食生活は多様性と変化に富んでいるため、一般化するのは難しいですが、食の多様性とアメリカ独自の料理文化が魅力となっています。下記は一般的な傾向であり、全てのアメリカ人の食生活に当てはまるわけではありません。地域や個人の好み、文化的背景、経済的な要因などが食事の選択に影響を与えることを念頭に置いてください。
- 朝食: アメリカの朝食は多様であり、シリアルやトースト、ヨーグルト、フルーツ、卵料理、ベーコン、ハッシュブラウンなどの組み合わせが一般的です。また、ベーカリーやコーヒーショップでのパンやドーナツなどの軽食も人気です。
- 昼食: 昼食は多くのオフィスワーカーや学生が外食することが一般的です。ファストフードチェーンやレストラン、デリ、フードトラックなどで、サンドイッチ、ハンバーガー、サラダ、ピザ、中華料理、メキシコ料理などのメニューを選ぶことができます。
- 夕食: 夕食は家族や友人との共同の食事の機会であり、一般的に比較的大きな食事となります。主菜として肉(鶏肉、牛肉、豚肉)、魚、またはベジタリアンの選択肢、副菜(野菜、サラダ、米、パスタ)、デザートなどが一般的です。アメリカの地域や家庭によっては、バーベキューやグリルパーティーも頻繁に行われます。
- おやつ: アメリカでは、おやつの文化が根付いており、午後の時間帯に間食をすることが一般的です。ポテトチップス、クッキー、チョコレート、アイスクリーム、キャンディなど、甘い・塩辛いおやつが人気です。また、コーヒーショップでのコーヒーやスイーツもよく楽しまれます。
- 飲み物: アメリカでは、ソフトドリンク(炭酸飲料)やジュース、コーヒー、紅茶、ボトルドウォーターが一般的な飲み物です。アルコール飲料としてはビール、ワイン、ウイスキー、カクテルなどが人気です。
近年では健康志向や持続可能性への関心が高まっており、野菜やフルーツの摂取量が増えている一方で、加工食品や高カロリーな食事の摂取を制限する傾向も見られます。オーガニック食品、自家製の料理、ベジタリアンやビーガンの食事スタイルの採用も増えています。
アメリカのトレンド
2022年末までの、SaaS関連ソフトウェアやブロックチェーンのブームとも言える状況から一転、現在はAI関連の話題へと変わりましたが、ますますイノベーションの勢いが増すアメリカ。フード・レストラン業界に関連したイノベーションやトレンドも数多く存在します。食文化自体の評価に関して言えば、日本食の方が高い印象ですが、アメリカの強みはあらゆるビジネスをグローバル化させることだと感じます。
ここ最近のフード業界のトレンドについて、いくつか取り上げてみたいと思います。
プラントベースの代替食品の普及
©Impossible Foods Inc.
©Beyond Meat
アメリカにおけるプラントベースの代替食品の普及度は、近年急速に増加しています。以下にその背景と具体的な傾向を示します。
プラントベースダイエットの人気: 健康や環境への意識の高まりに伴い、プラントベースの食事スタイルが注目を集めています。ベジタリアンやビーガンなどのプラントベースダイエットを実践する人々が増えており、それに伴って代替食品の需要も高まっています。
メディアとセレブリティの関与: プラントベースの代替食品についての情報は、メディアや有名人の影響力によって広まっています。著名な料理人やセレブリティがプラントベースの食事を推奨し、代替食品を積極的に紹介することで、一般の人々にも関心が広がりました。
代替食品の品質向上: 長年にわたり、代替食品の品質と味が改善されてきました。肉や乳製品の代替品としてのプラントベース製品は、以前よりも豊富で多様な選択肢があります。ハンバーガーやソーセージの代替品、植物性のミルクやチーズ、アイスクリームなどが市場に登場し、肉食主義者や乳製品愛好家にもアピールできるようになりました。
レストランや飲食業界への浸透: 多くのレストランや飲食企業が、プラントベースの代替食品をメニューに取り入れています。ヴィーガンやベジタリアン向けのオプションを提供するだけでなく、代替肉や植物性の乳製品を使用した料理も増えています。これにより、食事の選択肢が拡大し、プラントベースの食事を取り入れることが容易になっています。
技術の進歩と投資: 代替食品の普及には、技術の進歩と投資も重要な要素です。植物ベースのタンパク質の抽出や再構築技術、培養肉の研究などの技術的な進歩があります。これにより、代替食品の品質と多様性が向上し、より肉や乳製品に近い食材やテクスチャーを提供することが可能になりました。また、食品テック企業や投資家からの資金や支援も増えており、新しい代替食品の開発や市場への投入が促進されています。
環境への意識と持続可能性への関心: プラントベースの代替食品の普及は、環境への意識と持続可能性への関心の高まりとも関連しています。畜産業は温室効果ガスの排出や天然資源の消費などに寄与しているため、プラントベースの食事へのシフトは環境負荷を軽減する手段として注目されています。
小売業での拡大: 代替食品は、従来の食品小売業でもますます一般的になっています。多くのスーパーマーケットや食品チェーンは、プラントベースの代替食品を扱っており、消費者が簡単にアクセスできるようになりました。また、オンラインの配信サービスや専門のベジタリアン/ビーガン食品店も増えています。
これらの要素が組み合わさり、アメリカにおけるプラントベースの代替食品の普及度は増加しています。消費者の関心や需要の高まり、食品産業の技術的な進歩、環境への意識の変化が、より持続可能な食事選択への移行を推進しています。将来においても、プラントベースの代替食品の普及は継続し、さらなる進化や多様性が期待されています。
レストランやスーパーで見かけるため、一度は試してみる人は多いですが、一般消費者心理として、どれだけ環境に配慮されていても、あまりに高額だと購入し続けることはできません。どれだけ価格を抑え、リピーターを獲得できるかが今後の課題となります。
フードデリバリーとテイクアウト・ドライブスルー
©Grubhub
©DoorDash
©Uber Technologies Inc.
スマートフォンの普及により、デリバリーアプリが急速に普及しました。代表的なデリバリーアプリとしてはUber Eats、DoorDash、Grubhubなどがあります。これらのアプリを通じて、レストランや飲食店のメニューを閲覧し、注文や配達を依頼することができます。コロナ前から、既にアプリは存在していましたが、コロナ禍の状況は消費者行動を一気に変えました。デリバリーアプリでは、多種多様な食品や料理を選択することができます。レストランやカフェ、ファストフードチェーンなど、さまざまな飲食店がデリバリーアプリに参加しており、消費者は自宅やオフィスからさまざまな料理を楽しむことができます。その利便性を一度経験すると、少し割高になっても消費者は受け入れている感があり、コロナの規制がない今でも、その使用状況はコロナ禍と比べてそれほど変わっていないようです。
また、新たなビジネスモデルとして、フードデリバリーサービスの普及により、仮想レストラン(ゴーストキッチン)やクラウドキッチンと呼ばれる形態が登場しています。
仮想レストラン(ゴーストキッチン):
仮想レストラン、またはゴーストキッチンは、物理的な店舗を持たずにオンラインで注文を受け付け、料理を提供するビジネスモデルです。通常、これらのレストランは既存の飲食業者や料理人が自社のブランドやメニューを立ち上げ、オンラインデリバリーサービスを通じて顧客に提供します。レストランの外観やダイニングエリアがなく、注文は主にデリバリーアプリやウェブサイトを通じて行われます。
クラウドキッチン:
クラウドキッチンは、複数の料理ブランドやコンセプトを一つの施設内で運営するキッチンスペースです。これは複数のテナントやパートナーが同じ施設を共有し、各々が独自の料理を提供することができる環境を提供します。クラウドキッチンは通常、大規模なキッチンスペースを持ち、複数の料理ブランドのための調理設備やデリバリー関連のインフラを提供します。各テナントは自身のメニューやブランドを開発し、オンラインで注文を受けて料理を提供します。
仮想レストランやクラウドキッチンの利点は次のようになります。
- 低コスト: 実際の店舗を持たずにオンライン上で事業を展開するため、家賃や物件管理などのコストを抑えることができます。
- 柔軟性と多様性: 仮想レストランやクラウドキッチンでは、複数の料理ブランドやメニューを同じ施設内で提供することができます。これにより、多様な料理の選択肢を顧客に提供することができます。
- デリバリーに特化: デリバリーサービスのインフラを整備しているため、迅速かつ効率的な配達を実現することができます。また、オンライン注文やデリバリーアプリを通じて顧客と直接接触することができるため、顧客のニーズや要望に柔軟に対応することができます。
仮想レストランやクラウドキッチンが直面する課題としては、以下の点が挙げられます:
- ブランド認知とマーケティング: 実際の店舗を持たないため、顧客に対してブランドの認知を高めるためのマーケティングが重要です。オンライン広告やソーシャルメディアを活用して効果的な宣伝を行う必要があります。
- 品質管理と一貫性: 複数の料理ブランドを運営する場合、品質管理と一貫性の確保が重要です。各料理ブランドの調理スタッフや配達ドライバーのトレーニングや監視体制を整える必要があります。
- 配達の効率化: デリバリーサービスの効率化と迅速な配達を実現するためには、効率的なルートプランニングや注文のまとめ配達などの取り組みが求められます。
- 競争と差別化: フードデリバリーサービス市場は競争が激化しており、他の仮想レストランやクラウドキッチンとの差別化が重要です。独自のメニューや料理スタイル、顧客へのサービス提供方法などを工夫する必要があります。
これらの課題に対応するために、仮想レストランやクラウドキッチンは効果的なマーケティング戦略、品質管理システムの構築、デリバリーサービスの最適化に取り組む必要があります。また、顧客ニーズや市場トレンドを把握し、革新的な料理やサービスの提供に取り組むことも重要です。
ソーシャルメディアの活用
ソーシャルメディアは、レストランビジネスにおいて非常に効果的なマーケティングツールとなっています。中でもインスタグラムの利用はスタンダード、TikTokのインフルエンサーがローカルレストランの集客に貢献しているニュースもよく見られます。以下に、ソーシャルメディアの活用例をいくつか挙げます。
- メニューの宣伝と情報発信: 新メニューや季節限定メニューの宣伝に利用されます。写真や動画を投稿し、美味しさや特徴を伝えることで、顧客の興味を引きます。また、営業時間や予約情報、イベントの告知など、レストランに関する重要な情報も発信します。
- インフルエンサーマーケティング: ソーシャルメディア上で人気のあるインフルエンサーや食品ブロガーと提携し、レストランの宣伝を行うことができます。彼らのフォロワーに対して、特別なプロモーションや割引を提供し、レストランへの来店を促します。インフルエンサーの投稿やレビューは、多くの人々に届くため、集客や知名度向上に役立ちます。
- ユーザー生成コンテンツの活用: ソーシャルメディア上で顧客がレストランの写真やレビューを投稿することを促進します。ハッシュタグを使ったキャンペーンやコンテストを開催し、顧客が自身の体験やお気に入りのメニューを共有する機会を提供します。これにより、顧客の参加意識を高め、レストランの知名度や信頼性を向上させることができます。
- クーポンや割引の提供: ソーシャルメディアを通じて、フォロワーに対して特別なクーポンや割引を提供することもできます。例えば、特定の日や時間帯の割引、誕生日プレゼント、初回来店時の特典などです。これにより、新規顧客の獲得やリピーターの促進が可能となります。
- インタラクションと顧客サービス: ソーシャルメディアは双方向のコミュニケーションツールです。顧客からの質問やフィードバックに迅速に対応し、インタラクティブなコミュニケーションを図ることが重要です。レストランはソーシャルメディアのコメントやメッセージに積極的に返信し、顧客の関心や要望に真摯に対応します。また、ソーシャルメディア上での顧客の投稿やタグ付けに対して、感謝の意を示したり、リポストしたりすることで、顧客との関係を強化します。顧客サービスの向上は、顧客満足度や忠誠心の向上につながります。
- レビューや評価の管理: ソーシャルメディア上でのレストランに関するレビューや評価に対して、迅速かつ適切に対応することが重要です。顧客のフィードバックに対して感謝の気持ちや問題解決の意思を示すことで、信頼性やカスタマーサービスの質をアピールすることができます。
- ローカルコミュニティの参加: ソーシャルメディアを通じて、レストランが地域のイベントやチャリティー活動に積極的に参加していることをアピールすることができます。地域のコミュニティとの関わりを築くことで、地元の顧客や支持者を増やし、レストランの一体感と地域密着性を高めることができます。
- ビジュアルコンテンツの活用: ソーシャルメディアはビジュアルコンテンツの共有が盛んなプラットフォームです。レストランでは美しい料理の写真や料理の制作過程を映像で共有することで、食欲をそそり顧客の興味を引くことができます。料理のクオリティーや創造性をアピールし、フォロワーの関心を高めます。
- ソーシャルメディア広告の活用: レストランはソーシャルメディア広告を活用して、ターゲットとする顧客層に効果的にアプローチすることができます。ターゲットの地域、年齢、興味関心などを指定して広告を配信し、効果的な集客や売上増加を図ることができます。
- イベントや特別企画の宣伝: レストランが特別なイベントやプロモーションを計画している場合、ソーシャルメディアを活用してその情報を広めることができます。例えば、テーマディナーやワインペアリングイベント、特別なセットメニューなどの告知を行い、興味を持った顧客を引き寄せます。
2023年現在、飲食店のソーシャルメディア活用は必須と言えます。
Statista: Most popular social networks worldwide as of January 2023, ranked by number of monthly active users
ロボットの活用
©CBS TEXAS: Will Robots Replace Fast Food Workers?
©CBS TEXAS: Dallas Restaurant Turns To Robots To Help Manage Labor Shortage
アメリカの一部のレストランでは、ロボットの活用が増えてきています。
- オーダーおよび配膳ロボット: 一部のレストランでは、顧客がタブレット端末やセルフサービスキオスクで注文を行うと、ロボットが注文を受け取り、料理を調理した後、テーブルに配膳します。これにより、人手不足の問題を解消し、効率的なサービス提供を実現しています。
- 食材の調理ロボット: レストランの厨房では、ロボットが食材の切り込みや調理を担当するケースもあります。たとえば、ピザの生地を伸ばし、トッピングをのせる作業を自動化するために、ピザ作りのロボットが使用されています。これにより、一貫した品質とスピーディーな調理が可能となります。
- 配達ロボット: レストランでは、フードデリバリーの際にロボットを使用する取り組みも見られます。自動車や自転車に代わり、歩道や道路を安全に移動するロボットが、顧客の元へ注文した食品を届ける役割を果たします。特に都市部での短距離配達において、ロボットの活用が増えています。
- 接客支援ロボット: 一部のレストランでは、ロボットが顧客を出迎えたり、案内したりする役割を担っています。顔認識や音声認識技術を組み合わせることで、ロボットが顧客の要望に応じた対話を行うことが可能です。これにより、スタッフの負担軽減や特別なエンターテイメント要素の提供が実現しています。
これらのロボット活用の例は、効率化や顧客サービスの向上を目指したものです。しかし、まだまだ実験的な段階にあるため、すべてのレストランでロボットが活用されているわけではありません。また、人間のスタッフとのバランスや顧客との相互作用の面で課題もあります。しかし、技術の発展や改善により、ロボットの活用がますます進んでいく可能性があります。例えば、人間のスタッフとロボットが協力して効果的なチームを形成することができれば、レストランの運営効率が向上するでしょう。また、AI(人工知能)や機械学習の進歩により、ロボットがより高度なタスクを実行できるようになるかもしれません。
ただし、ロボットの活用は人間の役割を完全に置き換えるものではありません。人々はレストランに行く際に、人間の接客や温かみ、料理のクオリティ、そして人との交流を求めることもあります。そのため、ロボットを導入する場合には、技術と人間のバランスを取りながら、顧客のニーズと期待に応えることが重要です。
最終的には、ロボットの活用はレストラン業界における効率化と革新の一環として進化していくでしょう。消費者の需要や技術の進歩に合わせて、より洗練されたロボットシステムが開発され、レストランの経営に貢献することが期待されます。
オーガニック食品や食品廃棄物削減の取り組み(持続可能性への関心)
- オーガニック食品の需要増加: アメリカでは、オーガニック食品への需要が増加しています。消費者は農薬や化学肥料の使用を制限した有機栽培によって作られた食品を選ぶことで、自身の健康や環境への影響を考慮しています。オーガニック製品はスーパーマーケットや専門店で入手できるほか、オンラインの配送サービスも増えています。
- 有機食品の認証制度: アメリカでは、有機食品を識別するための認証制度があります。米国農務省(USDA)の有機食品認証プログラムでは、農産物や畜産物が有機規格に適合しているかどうかを認証しています。これにより、消費者は信頼性の高い有機食品を選ぶことができます。
- 食品廃棄物削減の取り組み: アメリカでは食品廃棄物の削減に向けた取り組みが進んでいます。多くの食品企業やレストランが、食品ロスを最小限に抑えるための戦略を採用しています。これには、余剰食品の寄付や再利用、フードシェアリングプラットフォームの活用などが含まれます。また、食品廃棄物削減を目指す法律や規制も州や地方レベルで導入されています。
- 持続可能な食品供給チェーンの構築: アメリカでは、持続可能な食品供給チェーンの構築に取り組む団体やイニシアチブも存在します。例えば、地域の農産物を消費者に提供する地産地消の取り組みや、地域の農業を支援するフードコープ(協同組合)などがあります。
- ファーマーズマーケットの普及: アメリカでは、ファーマーズマーケットが広まっています。これは、農家や生産者が直接製品を販売する場であり、地元の生産者と消費者が直接つながることができます。ファーマーズマーケットは新鮮な有機野菜や果物を提供し、持続可能な農業を支援しています。
- 食品ロスの対策: アメリカでは、食品ロスの削減に対する取り組みが進んでいます。多くの都市や州で食品廃棄物のリダクションを目指すイニシアチブや法律が導入されています。食品ロスを減らすために、余剰食品の寄付やコンポスト化などの取り組みが行われています。
- 持続可能な食品包装: 環境にやさしい食品包装への関心が高まっています。アメリカでは、プラスチックの使用を減らす取り組みやリサイクル可能な包装材の使用が増えています。また、バイオプラスチックや再生可能な素材を使用した包装の研究開発も行われています。
- エシカルダイニングの普及: 持続可能な食事体験を提供するエシカルダイニングの人気が高まっています。これは、食材の地産地消、有機栽培、フェアトレードなどの原則に基づいたレストランや食堂の運営を指します。消費者は食事の選択において、環境や社会的な影響を考慮するようになっています。
これらの取り組みは、持続可能な食品供給チェーンの構築や地域経済の支援、環境負荷の削減などに寄与しています。アメリカでは、持続可能な食品システムの実現に向けた意識と取り組みが広がっており、将来的にさらなる進展が期待されています。
サステナビリティー・エコフレンドリーパッケージング・環境問題に対する取り組み
スーパーでのプラスチックバッグが有料化されているのは、日本も同様かと思いますが、最近では、ファストフード店のペーパーバッグも有料化されています。海洋生物がプラスチックストローで傷付いている映像を見たことある方も多いかと思います。コーヒーカップが再利用されず、埋め立てられていることも問題定義されています。食品廃棄も問題となっていますが、一方で今後は世界人口の増加、農業生産の制約、気候変動、土地の利用制限などの要因によって、十分な食糧が確保できないことを専門家が危惧しています。
サステナビリティーへの取り組み: 多くのレストランが持続可能性を重視し、エネルギー効率の改善、廃棄物削減、水の節約などの取り組みを行っています。例えば、省エネルギー機器の導入やLED照明の使用、再生可能エネルギーの活用などが挙げられます。また、食材の地産地消や有機栽培、フェアトレード商品の提供などもサステナビリティーへの取り組みの一環です。
エコフレンドリーパッケージング: レストランは環境に配慮したパッケージングの採用にも取り組んでいます。一回性のプラスチック製品の使用を減らし、再利用可能な容器やバイオデグレード可能な素材を使用することで廃棄物削減に貢献しています。また、リサイクルプログラムの導入や顧客への持ち帰り用容器の提供なども行われています。
食品廃棄物削減: レストラン業界では食品廃棄物の削減にも注力しています。食材の効率的な調達や在庫管理、余剰食品の寄付やリサイクル、食品ロスの監視と分析などの取り組みが行われています。また、顧客に対して食事のオーダーサイズの選択やドッグバッグの提供など、食品ロスを減らすための啓蒙活動も行われています。
持続可能な認証や評価プログラム: レストラン業界では、持続可能性を評価し認証するプログラムが存在します。例えば、米国農務省(USDA)の有機食品認証プログラムや、LEED(Leadership in Energy and Environmental Design)認証などがあります。これらの認証を取得することで、レストランは持続可能性への取り組みを証明し、顧客に対して信頼性を向上しています。
グリーンレストラン認証プログラム: アメリカには、グリーンレストラン認証プログラムが存在します。このプログラムでは、エネルギー効率、廃棄物管理、水の使用削減、地産地消、持続可能な材料の使用などの基準を満たすレストランに認証を与えます。認証されたレストランは、サステナビリティーへの取り組みを客にアピールすることができます。
環境への配慮を示すマーケティング: レストランは環境への配慮を示すために、マーケティング活動を行っています。メニューに掲載される食材の産地や有機栽培の使用、持続可能な漁業からの魚介類の提供などを強調することで、環境に対する取り組みを顧客に伝えています。また、ウェブサイトやSNSを活用して持続可能性に関する情報を提供し、顧客とのコミュニケーションを行っています。
フードロス対策のパートナーシップ: レストランはフードロス対策のためのパートナーシップを結ぶこともあります。食品銀行や非営利団体と協力し、余剰食品の寄付やフードリカバリープログラムに参加することで、食品廃棄物削減に貢献しています。また、地域の農場や畜産業者との連携を強化し、地元の食材の活用にも取り組んでいます。
持続可能性への教育とトレーニング: レストランは従業員に対して持続可能性への教育とトレーニングを提供しています。従業員は食材の選択、廃棄物管理、エネルギーの節約などに関する指導を受け、持続可能性の意識を高めることが求められます。
今後の課題
- 肥満問題: アメリカは肥満率が高い国として知られています。大量の食事や高カロリーなジャンクフードの普及、運動不足などが要因とされています。肥満は健康リスクを引き起こすだけでなく、医療費の増加や生活の質の低下につながる問題です。
- 食品の持続可能性と廃棄物削減: アメリカでは食品廃棄物の量が非常に多いという課題があります。農産物の過剰生産や消費者の食べ残し、食品供給チェーンの問題などが原因とされています。また、食品包装やプラスチック使用量の多さも環境への負荷となっています。
- 栄養格差: アメリカでは栄養格差が存在し、一部の地域や社会的に弱い立場にある人々が栄養不足や食品のアクセスの制約を抱えています。特に低所得者や食品砂漠と呼ばれる地域では、栄養バランスのとれた食事を摂ることが難しい状況が続いています。
- 食品安全性: アメリカでは食品の安全性に関する懸念も存在します。食中毒や食品汚染の問題が時折報告されており、食品業界や公衆衛生当局が食品の品質管理や監視を強化する必要があります。
- 食事の社会的影響: アメリカでは食事が社会的な問題としても取り上げられています。食事の格差や食品の価格によるアクセスの制約、食事に関する文化的な偏見や差別などが存在し、公正な食事環境の確保が求められています。
- 食事の時間と忙しさ: アメリカの忙しい生活スタイルにより、食事の時間や品質に対する配慮が不足しているケースもあります。仕事や学校での時間制約やストレスにより、食事を十分に摂ることやバランスの取れた食事をすることが難しい場合があります。
- 食事の教育と意識向上: 食事に関する適切な知識や意識が一般的に不足していることも課題です。栄養教育や食事の健康的な選択の啓発が必要であり、特に子供や若者への食育の充実が求められています。
これらの課題に対して、政府や食品業界、消費者自身の意識や行動の改善が必要です。持続可能な食文化の促進、栄養教育の充実、食品廃棄物削減への取り組みなどが重要な課題となっています。
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